研究課題/領域番号 |
15K11380
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小牧 基浩 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30401368)
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研究分担者 |
岩崎 剣吾 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40401351)
森田 育男 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60100129)
和泉 雄一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60159803)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 培養上清 / エクソソーム / microRNA |
研究実績の概要 |
初年度は、in vitroにおけるヒト胎盤由来間葉系幹細胞エクソソーム(PlaMSC-exo)の機能評価のための予備実験として、PlaMSC-exoを含む培養上清の歯周組織を構成する細胞に対する効果(細胞増殖、細胞遊走)を検討した。培養上清は、細胞増殖は血管内皮細胞でのみ有意に促進した。一方、培養上清は歯根膜幹細胞、セメント芽細胞、血管内皮細胞の遊走を促進したが、血管内皮細胞に対する効果が最も顕著であった。さらに培養上清は血管内皮細胞のチューブ形成を促進すること、その作用はエクソソームを除くことで部分的に抑制されること、PlaMSC-exo添加により血管内皮細胞によるチューブ形成が促進されることを確認した。そのメカニズムを検討するため、1培養上清の成長因子アレイ、2血管内皮へのPlaMSC-exo取り込み実験、3血管新生関連遺伝子発現解析、4PlaMSC-exo中のmicroRNA解析を行った。我々はPlaMSC-exoの血管新生効果について検討した。培養上清中には、血管新生促進と抑制に関連する成長因子が確認された。PlaMSC-exoは、数時間で血管内皮細胞の細胞質に取り込まれることが確認された。PlaMSC-exo添加により血管内皮細胞における血管新生関連遺伝子発現が上昇することが確認された。ここまでの研究結果を論文投稿した。(現在リバイス中)PlaMSC-exoのmicroRNAアレイデータは現在解析中。 初年度研究により、創傷治癒で重要な役割をもつ血管新生に対してPlaMSC-exoが顕著な効果を有することが確認された。一方、PlaMSC-exoのセメント芽細胞、骨芽細胞への効果は極めて小さかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々は間葉系幹細胞が分泌するパラクライン因子、とくにエクソソームが歯周組織再生において重要な役割をもつと仮定し研究を行った。しかしながら、エクソソームは歯周組織構成細胞のうち血管内皮に対する作用が顕著であったものの、期待していたセメント芽細胞、骨芽細胞、歯根膜細胞への作用は有意差は得られるものの、極めて小さかった。このため、研究は創傷治癒において重要な血管新生に対する効果について検討することにした。
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今後の研究の推進方策 |
PlaMSC-exoの血管新生に対するin vitroの効果が確認され、現在論文投稿中なので引き続きin vivo効果について検討を進める。一方、血管内皮細胞以外の細胞への効果は比較的弱かった。我々は、既にPlaMSC-exoが線維芽細胞における分化刺激応答性を調節することを報告している。(J Cell Biochem,117(7),p1658) そこで各種細胞に対する培養上清中の各種成長因子に対する応答性をPlaMSC-exoが変化させるか検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試料の抽出計画が遅延したため、当初計画していたエクソソーム中のmicro RNA解析の外部発注が出来なかったため。なお、報告書作製時点においてこの計画は遂行準備が整っている。
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次年度使用額の使用計画 |
既に当初の使用計画である試料中のmicro RNA解析の外部発注準備ができ、予算の執行可能と同時に使用する。
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