研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)は、加齢・炎症に伴う歯周全身関連疾患であり生物学的関連メカニズムに関しては不明な点が多い。ADはamyloid betaタンパクが遺伝・加齢・炎症に伴い蓄積するとことが一因となりその合成と分解のバランスには、ネプリライシン(Neprilysin NEP) 等の生体酵素が重要な役割を果たす。我々はこれまで、歯周炎歯肉組織で、Amyloid beta precursor protein (APP)をはじめAD関連遺伝子群が発現亢進していることを発見した(J Periodont Res 2011) 。本研究では、ADに共通する炎症・生物学的経路に着目し、慢性歯周炎歯肉組織破壊病変部における、アルツハイマー病原因分子:APPタンパク、beta-site APP cleaving enzyme: BACE、Presenilin: PSEN及びNEP)の遺伝子発現を定量し、タンパク質組織局在を比較し機能を検索する。我々は、歯周炎罹患歯肉局所でのAPP発現細胞同定、更にその発現量の亢進を報告した(Archs oral Biol 2014)が、更なるAPP, BACE, PSEN, NEPは、相互に協調して機能しておりネットワーク解析が必要である。これまでの結果よりNEPの遺伝子およびタンパク発現が明らかになり、国際学会(AAP 2016 及びIAP 2017) にて発表、国際口腔生物学雑誌 (AOB, 79: 35-41, 2017)に論文掲載された。また、一連の研究が評価され代表者は2018年度日本歯周病学会学術賞を受賞、レビュー論文掲載された(日本歯周病学会雑誌60: 123-130, 2018)。
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