研究実績の概要 |
IL-17についてこれまで自己免疫疾患や、炎症性疾患における関与が報告されている。我々は歯周炎組織中においてIL-17が発現していること(Ito et al. Oral Microbiol Immunol. 2005)、歯周炎病原細菌(Porphyromonas gingivalis )を用いた単核球刺激の結果IL-17の発現が上昇したことを報告してきた。これらのことから歯周炎の病態形成にもIL-17が関与している可能性が高いと考えられる。IL-17は分子量20-30kDのペプチドからなるホモダイマーのタンパク質であり現在、IL-17A, IL-17B, IL-17C, IL-17D, IL-17E(IL-25), IL-17Fの6種類のファミリー分子が存在することが明らかにされている。IL-17Aは我々の報告を含め最も解析が進んでいる分子であるがその他のファミリー分子については未だ不明な点が多い。そのうちのひとつIL-17Cについて近年、上皮系細胞が産生しオートクライン的に作用する可能性があることが報告されている。我々は未刺激時の歯肉上皮細胞においてIL-17CはIL-17Aよりも高い遺伝子発現を示していることをこれまでに確認している。また歯肉上皮細胞にIL-17RA、IL-17REが発現していることが確認され、歯肉上皮においてもオートクライン的に作用する可能性があることが示唆されている。今後はIL-17Cの生物学的作用についてさらなる解析を行っていく予定である。
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