研究課題/領域番号 |
15K11385
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90570292)
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研究分担者 |
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カテプシンA / Ebelactone B / 歯根膜細胞 / 歯周組織再生 / ゲノムワイドアプローチ |
研究実績の概要 |
本研究課題は、マトリックス分解酵素カテプシンAの硬組織代謝ならびに歯周組織再生への関わりを、分子レベルで解明することを目的とする。平成29年度の研究成果について以下に報告する。 研究開始当初に同意が得られた13名の侵襲性歯周炎患者を対象としたエクソームシークエンスを実施し、構築されたデータベースを用いて遺伝子多型解析を行ったところ、1名につき平均77,802個のSNPを有する新たなデータベースが得られた。得られたデータベースを用いて、1000 genomeデータベースにおいてMAFが1%以下で、13検体中5検体以上にみられるSNPを抽出したところ、約400遺伝子が同定された。その中で、カテプシンAのSNP rs181943893【(NM_000308.3:c.108G>C)、108番目の塩基がGからC置換されるSNP】に注目した。侵襲性歯周炎患者40検体および健康人30検体についてサンガー法による遺伝子多型解析およびカイ二乗検定を用いた統計学的解析を実施したところ、rs181943893のMAFは侵襲性歯周炎患者群27.5%であったのに対し、対照群では10%であったことから、侵襲性歯周炎患者においてrs181943893のMAFが有意に高いことが明らかとなった(p値:0.010、オッズ比:3.414、95%信頼区間:1.287-9.058)。 以上の結果より、侵襲性歯周炎疾患群と対照群において、カテプシンAのSNP rs181943893のMAFに統計学的有意差を認めたことから、カテプシンAが日本人における侵襲性歯周炎の疾患関連遺伝子であることが示唆された。すなわち、rs181943893によりカテプシンAの活性が低下することで、歯根膜組織の恒常性維持が破綻することにより、侵襲性歯周炎の発症・進行が惹起されると考えられた。
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