研究実績の概要 |
糖尿病モデルマウスを用いて,絹糸結紮および歯周病原細菌であるPorhyromonas gulae(Pg)の口腔内投与を行い,歯周炎を誘発させ,糖尿病病態化における歯周病原細菌感染と炎症の評価を行った。 BALB/cにの上顎左側第二大臼歯に5-0絹糸を結紮,またはPgを口腔内投与を行い,コントロール群,結紮群(Lig),Pg投与群(Pg), 結紮およびPg投与群(LigPg)の4郡に分け,Pg血清抗体価,血清中のCRP, SAA, IL-6を定量した。LigPg群の血清抗体価の上昇は,Pg群よりも高かった。一方で,CRPは,Lig, Pg, LigPg群ともに上昇が認められたが,各群に有意差は認められなかった。 また,KK/TaJc1にを用いて糖尿病モデルを作成し,コントロール,Lig, Pg, LigPg群に分けて,前述の項目について非糖尿モデルとの比較を行った。血清抗体価の上昇は,LigPgにおいて,糖尿病モデルのほうが顕著に高かった。また,CRP,SAA,IL-6に関しても,LigPg群では非糖尿病群と比較して糖尿病群のほうが高い値を示した。 以上の結果から,糖尿病モデルマウスは,非糖尿病群と比較して,Pgの感染および炎症応答を促進することが示唆された。最も感染,炎症が誘導された糖尿病マウスのLigPg群においては,空腹時血糖やHbA1cの値が他の群と比較してさらに増悪していたことから,糖尿病→歯周病→糖尿病のモデルマウスを作製することに成功したと考えられる。
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