研究課題/領域番号 |
15K11392
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
細川 育子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (50707908)
|
研究分担者 |
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (00217770)
細川 義隆 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (90346601)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | メラトニン / 歯周炎 / ケモカイン / MMP |
研究実績の概要 |
メラトニンは松果体から分泌されるホルモンであり睡眠リズムの調節に関与している事が知られている。近年、メラトニンに抗酸化作用、抗炎症作用など様々な生理活性作用がある事が明らかとなってきた。また、歯周炎においては歯肉溝浸出液中にメラトニンが含まれている事が報告されたが、その働きに関しては明らかとなっていない。本研究では歯周炎においてメラトニンの抗炎症作用に焦点を絞り、メラトニンが歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜由来細胞(HPDLC)のケモカインならびにMMP産生に与える影響について検討した。 炎症性サイトカインの1種であるIL-1βはHPDLCのCXCL10ならびにMMP-1産生を誘導した。メラトニンはIL-1βが誘導したCXCL10ならびにMMP-1産生を濃度依存的に抑制した。この抑制効果はp38 MAPKとJNKリン酸化の阻害ならびにIκB-α分解阻害が関与している事も明らかとした。 この結果よりメラトニンは歯周炎病変局所において歯周組織構成細胞のケモカインならびにMMP産生を減少させている事が示唆された。さらにメラトニンは炎症性細胞浸潤の抑制・細胞外マトリックスの分解抑制する事により歯周炎の発症および進行を抑えている事が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、メラトニンが歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜細胞のケモカイン産生ならびに細胞外マトリックス分解酵素の産生を抑制できることを明らかとし、その結果を学会発表を行い、さらに現在論文投稿中である。ゆえに、本研究課題はおおむね順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜由来細胞に対してメラトニンが抗炎症作用があることを明らかとしている。しかしながら、他の歯周組織構成細胞である歯肉線維芽細胞や歯肉上皮細胞に対するメラトニンの抗炎症作用に関しては不明である。今後、他の細胞に対してもヒト歯根膜由来細胞と同様の作用がメラトニンになるのか、検討を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度はこれまでに培養に使用していた試薬に加えて、ELISA Kit, Western blotに使用する抗体などが十分に残っていたため、新たに購入する試薬が計画より少なくなったため次年度使用額が生じた。また、発表予定であった学会に参加できなかった事も次年度使用額が生じた理由として考えられる。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は多種類のサイトカイン、ケモカインの発現を確認するために多くのELISA Kitや抗体を購入予定であり、その際に繰り越し分および次年度の研究費を使用する予定である。また、学会や論文投稿も多くする予定でありその際にも多くの研究費が必要となると思われる。
|