研究実績の概要 |
我々がこれまでに行ってきた研究によって、歯肉増殖には、システインプロテアーゼの1種である、カテプシンが関与することを示してきた。そして、数種類あるカテプシンの中で、カテプシンLとカテプシンBを比較した場合、カテプシンLの方が、より強く歯肉増殖症に強く関与することを明らかにしてきた。 そこで、カテプシンL活性の抑制効果が特異的に高いことが近年報告された、プロテオグリカンの1種であるspock1 (SPARC/osteonectin, cwcv and kazal like domains proteoglycan 1) (Bocock JP. et al.,Eur J Biochem, 2003) に注目し,本分子が病変局所において過剰発現することで,歯肉増殖が惹起されるのではないかとの仮説を設けた。これを受け,歯肉増殖症を惹起する薬剤がin vitroでspock1の発現に及ぼす影響を調べる実験を行った。 in vitroにおける検討では,ヒト歯肉線維芽細胞に歯肉増殖症発生の副作用をもつ代表的な薬剤(シクロスポリンA,フェニトイン,ニフェジピン)を作用させると,spock1のmRNAの発現が亢進することを明らかにした。このmRNAの発現の程度は、上記の3つの条件下ともにコントロール群と比較して、約1.5倍であった。さらに、spock1過剰発現マウスを作成し、種々の解析を行う準備を整えてきた。
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