研究課題
本研究では、我々が確立した感作ラットを用いた歯周炎動物モデルを用いて、歯周炎の発症における老化促進因子C1q およびWntシグナルの関与について明らかにすることを目的とした。補体分子であるC1qは、Wntシグナルを活性化することにより、骨格筋再生能低下を引き起こし、さらに心不全や動脈硬化、糖尿病などの老化関連疾患ヘの関与も示唆されている。しかしながら加齢と伴に罹患率が増加する老化関連疾患の一つである慢性歯周炎の発症における老化促進分子としてのC1qの働きについて調べた研究はないため本研究の着想に至った。我々が確立したラット歯周炎モデルでは、LPSにより感作したラットの歯肉溝へ高濃度LPSを10日間滴下し、歯周ポケット及び骨吸収を引き起こす。同モデルにおいて組織切片を作製し、C1q抗体を用いた免疫組織染色の結果、歯周ポケット周囲の上皮及び結合組織にC1qの発現を認めた。(Yoshinaga et al. 2012) さらにLPS抗体を作製し、LPSとLPS抗体をラット歯肉溝内へ交互に滴下すると前述の歯周炎モデルと同様に歯周ポケット形成と骨吸収が認められた。(Kuramoto et al. 2012)また本歯周組織においても歯周ポケット周囲組織にC1qの強い発現を認めたため、C1qの歯周ポケット形成及び歯槽骨吸収への関与が強く示唆された。さらに長い上皮性付着を誘導したラットを用いた研究においても、歯周ポケットが誘導されている組織切片において、C1qの強い発現が確認された。(Noguchi et al. 2017)
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Journal of Periodontal Research
巻: 53 ページ: 422~429
10.1111/jre.12529