研究課題/領域番号 |
15K11399
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
中島 啓介 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80227785)
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研究分担者 |
臼井 通彦 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10453630)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 咬合性外傷 / 歯周病 / 歯肉溝滲出液 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
早期接触により外傷性咬合が生じると歯根膜内に炎症が惹起され,咬合痛や歯の動揺が認められようになる。しかし,外傷性咬合のみ では慢性歯周炎に見られる組織破壊(アタッチメントロスや垂直性骨欠損)は惹起されない。「慢性歯周炎による組織破壊では,炎症性の破壊に加えて外傷性咬合が何らかの影響を与えている」という仮説については賛否が分かれている。矯正力による歯周組織のリモデリングについては,実験動物と患者の歯肉溝滲出液(GCF)を使って多くの研究が行われている。しかし,外傷性咬合が慢性歯周炎による組織破壊に与える影響を組織学的手法以外で検討した報告は少ない。本研究課題では,咬合調整(外傷性咬合の除去)によるGCFプロファイルの変化を調べることにより,外傷性咬合が歯周ポケット内の炎症に対して何らかの影響を与えるか否か,与える場合はその機序を明らかにすることを研究目的とした。平成28年度は,1)初診時2)歯肉縁上スケーリング後3)咬合調整後4)スケーリング・ルートプレーニング後,において限局型慢性歯周炎患者の被検部位からサンプルを採取し,各サンプルについてGCF量およびGCFプロファイルを評価した。GCF量は被検部位でその増減に違いがあり,治療ステージの進行に伴う一定の傾向は認められなかった。抗体アレイメンブレンによって評価できた40週種類のサイトカインのうち,初診時に高いレベルで認められたIL-1α IL-8,MIP-1-β,MIP1-1-δ,RANTESは歯肉縁上スケーリング後には大幅に減少したが,咬合調整の前後ではほとんど変化しないことが明らかとなった。平成29年度も引き続き,サンプル数を増やして解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は当初に想定していた進捗状況に近づいたが,被験者である患者に対する治療の進行によりやや遅れている感がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成29年度も引き続き,被験者数を増やすために歯周病科に所属する歯科医師全員に協力を要請する予定である。
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