研究課題
矯正力による歯周組織のリモデリングについては実験動物と患者の歯肉溝滲出液(GCF)を使って多くの研究が行われているが,外傷性咬合が慢性歯周炎による組織破壊に与える影響を組織学的手法以外で検討した報告は少ない。本研究課題では,咬合調整(外傷性咬合の除去)によるGCFプロファイルの変化を調べることにより,外傷性咬合が歯周ポケット内の炎症に対して何らかの影響を与えるか否か,与える場合はその機序を明らかにすることを研究目的とした。1)初診時,2)歯肉縁上スケーリング後,3)咬合調整後,4)スケーリング・ルートプレーニング後,において限局型慢性歯周炎患者の被検部位からGCFサンプルを採取しGCF量およびGCFプロファイルを評価した。これまで11名の被験者の18歯の被験歯から各治療段階においてGCFサンプルを採取した。GCF量は被検部位でその増減に違いがあり,治療ステージの進行に伴う一定の傾向は認められなかった。各治療段階間において18歯分の測定結果を比較した結果,Eotaxin-1,Eotaxin-2,GM-CSF,ICAM-1,IFN-γ,I-309,IL-1α,IL-8,IL-10(初診時・歯肉縁上スケーリング後),Eotaxin-1,G-SCF,IFN-γ,I-309(初診時・咬合調整後),Eotaxin-1,Eotaxin-2,G-CSF,ICAM-1,IFN-γ,IL-6R,IL-7(初診時・スケーリング後)に関して有意差を認めた。現在,被験者・被験歯に関して集めた情報(年齢,性別,骨欠損率,歯周ポケット深さ,動揺度,歯肉内縁上皮面積)を加味して,さらにデータを解析中である。また,GCFサンプルの中には被験歯の治療期間が他と比較して長期間になったため解析対象から除外したものを含まれるため,サンプルを増加し最終的には30歯程度の被験歯サンプルから結論を導き出す予定である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Open Journal of Stomatology
巻: 7 ページ: 361-376
10.4236/ojst.2017.79031