研究課題
歯周病の発症と進行にサイトカインが深く関与している。リウマチ性間接炎に対して,生物製剤を応用され良好な治療成績が得られるようになった。しかし,生物製剤は高く歯周病患者には医療経済的に応用することは不可能ではないか。一方,高脂血症治療薬クロフィブラートをマウスに経口投与したところ、間接的に抗炎症性サイトカインの一つであるIL-1Ra産生に働くことが報告されている。そこでクロフィブラートの抗炎症作用(IL-1Ra産生)に着目し歯周治療応用の可能性を探ることとした。当初細胞培養実験と動物実験の2つの実験系により仮説の証明を試みたが、細胞培養実験では参考とした先行研究とは全く逆の結果が得られ、動物実験の実施は今後の課題とすることとした。平成29年度はマウス上皮細胞からのIL-1Ra遺伝子発現を調べたところ、発現の亢進は認められなかった。そこで、使用細胞をマクロファージ系の細胞に変更し、実験を継続して行ったところ、クロフィブラート単独刺激の場合、炎症性サイトカインであるIL-1βとTNF-αは有意に発現の亢進が観察されたが、IL-1Ra、IL-6、IL-1α、IL-1レセプターの発現はコントロールと同程度であった。またSOCS3については多少発現に増加傾向が観察された。以上より、高脂血症治療薬クロフィブラートは単独で歯周組織構成細胞では炎症の亢進に作用する可能性が示唆された。そこで、歯周組織中で活性化したマクロファージでは異なる動態を示す可能性を考え、細菌の内毒素(LPS)刺激したマクロファージにクロフィブラート添加した場合、LPSのみで発現上昇したTNF-α、IL-6、SOCS3の発現は、クロフィブラート添加により、やや発現の低下を見せたものの、IL-1Ra遺伝子発現も低下したことから、TNF-α、IL-6の発現低下はIL-1Ra以外の分子による現象であることが明らかとなった。
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