研究課題/領域番号 |
15K11404
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
前田 博史 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (00274001)
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研究分担者 |
苔口 進 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10144776)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
北松 瑞生 近畿大学, 理工学部, 講師 (60379716)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ペプチド核酸 / アンチセンス / 細菌叢 / Porphyromonas gingivalis |
研究実績の概要 |
本研究の目的はアンチセンスペプチド核酸(アンチセンスPNA)を口腔微生物に対して応用し,病原遺伝子の発現抑制,あるいは特定細菌種の増殖抑制を行うことである。これによって、将来的にアンチセンスPNAを応用した細菌叢コントロール法の開発を目指す。 これまでの研究において、歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis、ならびにAggregatibacter actinomycetemcomitansを標的菌種として、アンチセンスPNAを菌体内に導入するためのキャリアーペプチド配列について検討してきた。64種類のペプチドについて細菌内への導入効率を調べた結果、KFFの繰り返し配列が最も2種類の歯周病原細菌に対して高い導入効率を示した。 上記の結果を受け、昨年度はP. gingivalisの保有する熱ショック蛋白質(HSP60)を標的分子として、キャリアーペプチドを付与したアンチセンスPNAを合成し、細菌の増殖抑制試験を実施した。しかしながら、アンチセンスPNAによって大きくP. gingivalisの増殖を抑制することはできなかった。 平成28年度は、アンチセンス鎖の塩基配列を変更することによって、再度、P. gingivalisの増殖抑制試験を実施した。すなわち、HSP60 mRNA上のアンチセンスPNA標的部位をtranslation initiation siteからやや上流にシフトし、12塩基のアンチセンスPNAを再合成した。その結果、アンチセンスPNA濃度が10μM付近において、細菌の増殖を抑制する結果を得た。今後、標的遺伝子の発現状況、あるいは標的遺伝子をより致死的遺伝子に変更して研究を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
標的とした熱ショックタンパク質の発現量が多いため、アンチセンスPNAによる抑制が難しい可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
標的遺伝子を多様化することで、上記問題を解決する。特異抗体の入手が困難であり、遺伝子の特異的な抑制が起こっているのか検証することが、困難となることが予測されるが、菌種特異的な増殖抑制が起こっていることを実証し、これを補う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンチセンスPNAによる細菌増殖抑制試験が、当初の予定どおり進まなかった。このため、抑制試験後に行う実験計画のための予算に残余が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に予定していた研究計画未実施分については、平成29年度に実施する。また、アンチセンスPNAの標的菌種、ならびに標的遺伝子の種類を増やし、問題解決にあたる。
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