背景: Lox-1は、脂質異常症の原因であるoxLDLの受容体である。慢性歯周炎の主要な病原体であるP gingivalis菌LPSの受容体であるTLR2および4は、破骨細胞上のoxLDLの影響を受ける可能性がある。したがって脂質異常症における歯周炎の歯槽骨吸収が増加する可能性がある。本研究は、インビトロでTLRに関連する破骨細胞形成に対するLox-1の効果を解明することを目的とした。 方法: 骨髄細胞BMCをM-CSF(macrophage colony-stimulating factor)で破骨細胞前駆細胞BMMに誘導した。この細胞を、RANKL(receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)と、Pam3(TLR2 ligand)またはLipid A(TLR4 ligend)で刺激し、TRAP(tartrate-resistant acid phosphatase)染色、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー分析、PCR、およびRT-PCRよる破骨細胞形成を評価した。 結果:Lox-1の発現は、BMCにおいてPam3およびlipid Aによって有意に増加したが、BMMでは影響がなかった。 Pam3は、FACS分析を用いてBMCにおけるRANKおよびLox-1発現を増加させた。 TRAP+細胞は、Pam3のみの添加では増加しなかったが、Pam3およびLox-1のリガンドであるoxLDLの添加によって増加した。Lox-1およびMyD88の両方の発現は、TLR2、TLR4、MAPKの各阻害剤によって抑制された。 結論:BMCsにおいて、TLR2誘導性Lox-1のアップレギュレーションによってoxLDLの共存下で破骨細胞形成が促進された。脂質異常症の進行とともに歯周炎が悪化する可能性が示唆された。
|