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2015 年度 実施状況報告書

補綴物を含めた咬合が冠動脈性心疾患・脳血管疾患の発症および原因死に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 15K11410
研究機関新潟大学

研究代表者

山賀 孝之  新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90345512)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード咬合 / 補綴物 / 冠動脈性心疾患 / 脳血管疾患 / 生存分析 / コホート研究
研究実績の概要

歯周病やう蝕による喪失歯数の増加は,正常な咬合の崩壊により咀嚼能力を低下させ,身体に様々な影響を及ぼす。咬合状態は個人の生存寿命にも影響を及ぼしている。一方,歯の喪失と死亡率との関係を死因別に見てみると,歯の喪失は呼吸器系病死および冠動脈性心疾患(CHD)死あるいは脳血管疾患(CVD)死のリスクファクターであるとの報告が多く,咬合状態の悪化が疾患の発症そのものに関与した可能性がある。しかし,わが国をはじめとした歯科受療へのアクセスが容易な先進国では,歯を喪失しても補綴物により咬合回復がなされる場合が多く,その補綴状況にまで言及すると喪失歯数と機能低下に単純な量-反応関係があるとは言い難いため,補綴介入の影響を考慮した結果の解釈が必要である。本研究の目的は,経年的な咬合の悪化と補綴介入による回復がCHDおよびCHD発症およびそれらの原因死に与える影響を検討することである。
本年度は新潟市在住の高齢者378名の70歳から73歳までの3年間の咬合状態の変化とその後の8年間の全原因死亡率の生存分析を行った結果,天然歯だけでみた咬合悪化は死亡率に対する有意な影響は無く,固定性補綴物(ブリッジやインプラント等)を含めた咬合を喪失したグループの死亡リスクが,それが無かったグループの2.6倍であったが,無歯顎者(ほとんどが総義歯使用)の死亡リスクはむしろ低く,非喪失群と同程度であったことがわかった。この結果は,可撤性補綴物(義歯)を装着していることにより死亡リスクは押さえられるが,高齢期に至ってからの固定制補綴物による咬合の喪失が,その後の死亡リスクを増大させている可能性を示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

固定制補綴物(義歯)により死亡リスクが抑制できるとともに,高齢期に至ってからの固定制補綴物(ブリッジやインプラント等)による咬合の喪失が全原因死亡リスクを増大させることを実証できた。

今後の研究の推進方策

高齢者のみならず一般成人まで対象を広げて,冠動脈性心疾患(CHD)死あるいは脳血管疾患(CVD)発症との関連性を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初,実施予定であった対象集団から他集団へ変更が余儀なくなり,その選定および関係諸機関との調査実施スケジュール調整に多くの時間を費やした結果,補助者謝金と出張費に残(余剰)が生じているため。

次年度使用額の使用計画

研究対象者数の増加と実施日の増加により,本年度の予算は順当に消費されると見込まれる。

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公開日: 2017-01-06  

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