研究課題
今年度は、口腔細菌感染による主要な疾患であるう蝕、歯周病および歯の喪失と、全身所見や食生活との関連についての疫学的解析、歯科疾患と関連が深い生活習慣である喫煙が口腔細菌叢に与える影響についての文献レビューを実施した。事業所Aの歯科─医科健診リンケージデータの分析では、歯周病をもつ40代男性で消化器健診所見が多くみられ、飲酒および喫煙習慣のない非肥満者においても歯周病と脂肪肝との関連性が認められた。さらに、P.gingivalis、T. denticola、T. forsythiaなどの歯周病菌の組合せと歯周状態との関係、う蝕と歯の喪失の複合による咀嚼障害と肥満との関連、未補綴による塩分過多食事パターンへの変化についての結果も得られた。喫煙と唾液やプラーク中の細菌叢との関連についての文献を包括的に検索した結果、1099編が抽出され、そのうち歯周病菌に関する42編をレビューの対象とした。In vitro研究では、タバコ抽出物やニコチンのS. gordoniiとP.gingivalisが関与するバイオフィルム形成への影響が調べられており、喫煙はバイオフィルム形成を促進することが示唆されていた。臨床研究では、喫煙者は非喫煙者と比較して、病原性の高い歯周病菌が高頻度で検出されることが示されていた。また喫煙者は、歯周治療後に臨床症状は改善するにも関わらず、口腔細菌叢の改善が障害されることや、禁煙によりその障害は回復される研究報告が複数あるから、喫煙による口腔細菌叢のディスバイオシスが歯周病に関係する可能性があると結論づけた。
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Japanese Dental Science Review
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