研究課題/領域番号 |
15K11413
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関根 伸一 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70506344)
|
研究分担者 |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00303983)
永田 英樹 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (50260641)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | Porphyromonas gingivalis / ベジクル / シトルリン化タンパク |
研究実績の概要 |
わが国において、国民の70%が罹患している歯周病の進行にPorphyromonas gingivalis(P.g.)が中心の役割を果たしている。また近年ではそのP. gingivalisが関節リウマチ増悪化の因子となることが示唆されている。関節リウマチの原因は関節内の滑液タンパク質がシトルリン化されることにある。生体内に本来含まれないアミノ酸シトルリンは、ペプチジルアルギニン・デイミナーゼ(PAD)によって、アミノ酸アルギニンから生成される。このPADを有する唯一の口腔細菌がP. gingivalisである。このP. gingivalisがリウマチ関連の炎症増悪化にいかに作用するか考察することを目的とした。 ヒト歯肉上皮細胞と歯周病原性菌の中でも病原性が高いⅡ型線毛を持つP. gingivalis OMZ314株由来のベジクルを添加し6時間培養したところ、非添加群(コントロール群)と比較して炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α)の遺伝子発現が著しく上昇した。しかしクルクミンをベジクル群に加えたところ、濃度依存的に炎症性サイトカインの発現を抑制することが分かった。また、採取した培養上清をELISA法に供したところタンパクレベルでも同様の結果を得た。引き続きP.g.経口投与マウスの腸内細菌叢の変化に与える影響について検討したところ、P.g.の口腔内感染により腸内細菌叢には明らかな変化が認められ、特にBifidobacteriumの有位な減少がみられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
P. gingivalisの病原因子のひとつである「ベジクル」の炎症誘導能に対してクルクミンが阻害効果を示すことを示した。
|
今後の研究の推進方策 |
P. gingivalisの病原因子のひとつである「ベジクル」の細胞侵入能は評価できたので、関節腔への移行のメカニズムを明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ATCCサーバーシステムダウンにより当初予定していた菌の購入が遅れた。それに伴い実験進行もやや遅れたため、当初の経費支出より少なくなっている。
|
次年度使用額の使用計画 |
28年度内に菌体の購入を行うことが出来たため、順次計画を進める予定である。
|