研究課題/領域番号 |
15K11417
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森 貴幸 岡山大学, 大学病院, 助教 (90274000)
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研究分担者 |
山本 龍生 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20252984)
森田 学 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40157904)
野島 靖子 岡山大学, 大学病院, 助教 (80727636)
江草 正彦 岡山大学, 大学病院, 教授 (90243485)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 障害者 / 歯科疾患 / 歯科需要 / 加齢変化 / 治療効果 / マンパワー |
研究実績の概要 |
本研究課題は、研究1 地域の障害者の歯科医療に関する需要量の推測、研究2 地域の障害者の口腔器官の加齢変化と歯科受診行動との関連、研究3 地域の歯科医療機関の障害者歯科医療に提供可能なマンパワーと時間、の3つの研究からなる。 研究1,研究2に関しては、県内の歯科疾患に関する横断調査と当科(岡山大学スペシャルニーズ歯科センター)受診患者の回顧的調査を行っている。横断調査は、県内の障害者施設を訪問して、歯科疾患実態調査を行っている。実態調査の内容は、歯の状態(齲蝕歯、齲蝕未処置歯、齲蝕処置歯)、歯周状態(歯周ポケット深さ、出血)および咬合状態である。また、当科受診患者、当科関連歯科医療機関受診患者に関しても同様の調査を行っている。現在、収集したデータは250例ほどである。調査結果は、横断調査として分析するほか、平成19年~20年に行った同様の調査との比較を行う予定である。また、平成19~20年調査の対象者であった者で、今回の調査も行った者に関しては、その間の加齢変化と歯科受診状態との関連について解析する予定である。 研究2は、当科の開設当初(昭和57年)から平成25年末までの患者全員(概ね1500名)の治療内容と治療成績について回顧調査を行っている。その内容から現時点までに収集し得たデータに基づき、①障害者における抜歯の傾向、②障害者の歯の喪失の理由について、③障害者に装着した歯冠修復物の保持期間に関する解析についての発表を国内学会において行った。①から得た所見は、「下顎第一大臼歯が最も多く抜歯され、また抜歯された時の年齢が低い」ということであり、②から得た所見は、「齲蝕により喪失した歯の割合が最も多い」ということであった。また③からは、インレーの10年保持率が48.9%,クラウンの10年保持率が57.1%との所見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在進行しているのは上記の研究1と研究2である。 研究1では,地域の歯科医療に関する需要量予測のため、県内の歯科疾患の実態に関する横断調査を行っている。横断調査は、障害者施設(知的障害者および身体障害者を対象とする入所、通所施設)を訪問して行うフィールドワークと岡山大学病院スペシャルニーズ歯科センターおよびその関連医療施設を対象とした歯科疾患実態調査である。調査内容は歯の状態(歯数,健全歯,齲蝕未処置歯,齲蝕処置歯),歯列の状態(叢生の有無,咬合関係),歯周状態(歯周ポケット深さ,測定時の出血,歯の動揺)および歯科医療機関受診状況である。現状では250例程度の収集状況で,今後,できる限り目標の600例に近づける。これらのデータは、単独のデータとして解析するほか,平成19~20年に行った同様の調査結果との比較を行う予定である。 研究2では,岡山大学病院スペシャルニーズ歯科センターに受診歴がある患者全員(平成25年末までの受診患者で1300例程度の見込み)の回顧調査を行っている。調査内容は受診全期間における治療内容状態変化(歯の修復と歯の喪失について)で,現在は,受診歴の長い患者を中心として約900例のデータを収集済みである。この調査は,岡山大学病院歯科系カルテ閲覧システムの故障により滞っており,調査期間中に全数調査を終了できるか懸念される状況である。しかし,既調査分においては,調査結果の一部(歯の喪失,歯冠修復物の保持期間)に関して,その結果を関連学会にて発表済みである。 上記の研究3である,地域の障害者歯科に関するマンパワー量の推測に関しては,調査対象を歯科医師会会員としており,障害者歯科医療に関する意識調査を行う予定である。調査は集団対面方式を予定しており,会員が集合する機会にアンケート調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度中に,データ収集を完了し,平成29年度はデータ解析と論文執筆に移る予定としていたが,データ収集のペースが遅れているため,平成29年度にもデータ収集を行う予定である。地域の障害者における歯科疾患に関する横断調査の結果は,前回(平成19年~20年)の横断調査の結果と比較する。特に,前回と今回,いずれの調査でも対象となった者に関しては,その間の状態変化と加齢および歯科受診状態との関連に関する解析を行う。また,当科(岡山大学スペシャルニーズ歯科センター)の開設(昭和57年)以来の受診患者の治療内容と口腔状態の変化に関する回顧調査も続ける。データ収集は目標件数に出来るだけ近づけたうえで可及的早期に終了し,データ解析と論文執筆に専念する予定である。データ収集途上でも何らかの知見が得られれば,順次,発表を行う。 地域の障害者歯科に関するマンパワー量の推測に関しては,調査対象として地域の歯科医師会会員を予定しており,障害者歯科医療に関する意識調査を行う予定である。調査は集団対面方式を予定しており,会員が集合する機会に行うため,その機会を待っている状態である。地域の歯科医師会員を対象とした障害者歯科に関するセミナーが,当科教員を講師として定期的に開催されているので,その機会を利用してアンケート調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査に関する必要書類(同意書等)の発送業務を事務員に依頼したが,その際の労働時間の計算に間違いがあり,謝金額が過少となった。そのために相違が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の謝金に充当する予定である。
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