研究課題
本研究課題は,研究1地域の障害者の歯科医療に関する需要量の推測、研究2 地域の障害者の口腔器官の加齢変化と歯科受診行動との関連、研究3 地域の歯科医 療機関の障害者歯科医療に提供可能なマンパワーと時間、の3つの研究からなる。研究1,研究2に関しては、県内の歯科疾患に関する横断調査と当科(岡山大学 スペシャルニーズ歯科センター)受診患者の回顧的調査を行っている。横断調査は、県内の障害者施設を訪問して、歯科疾患実態調査を行っている。実態調査の 内容は、歯の状態(齲蝕歯、齲蝕未処置歯、齲蝕処置歯)、歯周状態(歯周ポケット深さ、出血)および咬合状態である。また、当科受診患者、当科関連歯科医 療機関受診患者に関しても同様の調査を行っている。現在、収集したデータは350例ほどである。調査結果より、ダウン症候群を有する対象者と非ダウン症候群知的能力障害者との口腔状態の比較を行った。その結果、ダウン症候群者は、非ダウン症候群知的能力障害者よりも、現在歯数は有意に少ないが、DMF歯数に有意差は認められなかった。この調査結果は、平成31年4月に台湾高雄市にて行われた、第1回アジア障害者歯科学会にて発表した。研究2は、当科の開設当初(昭和57年)から平成25年末までの患者全員(概ね1,500名)の治療内容と治療成績について回顧調査を行っている。そのデータより、15年以上の受診期間があった対象者について、15年間の受診状態と健全歯数変化との関連について解析を行った。その結果、受診回数および麻酔管理下受診の割合と健全歯数変化との間に有意差は認めなかったが、受診期間中に1年以上の受診中断期間があった対象者は、中断期間がなかった対象者よりも有意に健全歯数が減少していた。これは、日本障害者歯科学会雑誌に原著論文として掲載予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
日本障害者歯科学会雑誌
巻: 40 ページ: 印刷中