研究実績の概要 |
平成27年度は、先行研究で口腔前癌病変の診断が得られた病理組織検体の残検体よりHPVの検索を行った。今回は14検体のパラフィンブロックについてマルチプレックスPCR法(PapiPlexTM)でHPVTypingを行ったがいずれの検体からもHPVは検出できなかった。この結果の評価についてはさらに検討の必要性がある。平成27年度および28年度では60例のHIV感染者について、口腔がんスクリーニングを実施した。スクリーニングは先行研究から変更した新しいプロトコールに基づき行い、60例全員についてHPVの検索も行った。結果は、今回のスクリーニングでは口腔癌は見られなかった。口腔前癌病変は、先行研究で診断された例も含めると、12例に認められた。前癌病変の内訳は白板症10例、紅班症1例、扁平苔癬1例だった。口腔内擦過細胞によるHPVの検索はパラフィンブロック同様にマルチプレックスPCR法(PapiPlexTM)でHPVTypingを行った。結果は5例からHPVが検出され、HIV感染者のHPV陽性率は12%だった。平成29年度研究ではこれらの結果の解析を行った。解析結果で、HIV感染者では、HPV11など、ローリスク型の 感染も無視できないことが確認された。本研究では、HIV感染者のがん発生のリスクのみならずHPVの感染様式の解明も必要となるため平成30年度ではローリスク型の検索も行った。これらの結果をまとめてIDWeek 2016. October 2016 New Orleans, USA およびThe 16th European AIDS Conference. October 2017. Milan, Italy. にて発表した。
|