研究課題/領域番号 |
15K11431
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田中 とも子 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (70307958)
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研究分担者 |
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | バイオフィルム / Red complex / 歯周病 |
研究実績の概要 |
本年度の研究目的は、本疾患と強い関連があるRed complexの3菌種とバイオフィルム形成の土台となるS.mutans(S.m) ATCC25175株を用いて、歯根上へのバイオフィルム形成を試みることである。 使用菌株はPorphyromonas gingivalis(P. g)ATCC33277株、Tannerella forsythia (T. f) ATCC43037株、Treponema denticola (T. d) ATCC35405株とS.mである。バイオフィルム形成には、TYGVS 培地を基本とする液体培地に0.1% acetylmuramic acidを添加し、4菌種共通の培地を調整した。バイオフィルム形成は、ヒト唾液を用いて人工的にペリクルを付着させたヒト歯・歯根部から切り出した切片(被験切片)上に行った。 実験方法は、はじめにODを1.5に調整したS.m懸濁液を、被験切片が設置された容器内に満たし、24時間培養した。次いで懸濁液を除去し、各ODを1.5に調製したP. g、T. fとT. d懸濁液を被験切片が設置された容器内に入れ、さらに嫌気条件下(90%N2、5%CO2)で24時間培養した。これらの条件と比較検討するために、ぺリクル加工無、S.m 培養無と条件を変えた実験も行った。バイオフィルムの観察はSEMにて行った。 SEM観察の結果、4菌種すべてが歯根面上に付着し、バイオフィルム形成が確認された。S.m 培養無では、P. g のみ少数の付着がみられ、ぺリクル加工無、S.m培養有でも4菌種が確認された。以上のことから使用した4菌種(P. g、T. f、 T. dとS.m)でのバイオフィルム形成が可能であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Red complexといわれるPorphyromonas gingivalis (P. g)をはじめとする歯周病原菌を大量に培養することが難しく、人工口腔装置を使用した培養が困難である。したがって、現在は嫌気ボックスのシャーレ内でRed complexの3菌種を用いて、歯根上へのバイオフィルム形成を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も人工口腔装置を使用できるように、Red complexの3菌種の大量培養を試みながら、現在行っている嫌気ボックスのシャーレ内でRed complexの3菌種を用いた歯根上のバイオフィルムを用いて、バイオフィルムの形成抑制または分解促進の効果のある成分を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
外注での菌叢分析を行う予定であったが、サンプル数が多いほどコストが抑えられるため、次年度にまとめてより多くのサンプル分析を発注することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに、菌叢分析を行う実験に入っており、近日中にサンプルを準備が調う予定である。この結果により形成したバイオフィルムの菌叢を把握することができ、より実験目的に適したバイオフィルムに調整することができる。
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