研究課題/領域番号 |
15K11434
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
遠山 歳三 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任講師 (60638906)
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研究分担者 |
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20247315)
吉野 文彦 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (20308307)
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (60206810)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 鶏血藤 / 活性酸素 / 歯周病 / 歯肉微小循環 / 生薬 |
研究実績の概要 |
本研究では「鶏血藤を用いた歯周組織破壊に対する改善効果と歯周病予防薬の開発に関する研究」を目的として以下の2つの研究を遂行した。 In Vitro X-band Electrpm spin resonance (ESR:電子スピン共鳴法)およびフォトン検出法(微弱発光法)を用い鶏血藤のヒドロキシラジカル(・OH),スーパーオキサイドラジカル(O2・‐)消去消去能を測定し歯周病モデルマウスに投与する最適濃度についても検討した。 その結果、・OHの消去活性測定において、鶏血藤は0.02%から濃度依存的に・OH消去活性を有することが認められ、2%濃度で最大の消去活性を示し、10mM deferoxamineと同等の消去活性を有することが認められた。また、鶏血藤水抽出液はO2・‐の消去活性測定において0.25%から8%で濃度依存的なO2・‐消去活性が認められた。2%鶏血藤水抽出液において最大消去活性を示し、100U SODと同等の消去活性を示した。 ラット歯肉における虚血・再灌流(I/R)による反応性充血の抑制メカニズムへのNOとO2・-の関与を解明する目的で、O2・-とNO合成酵素(NOS)のコファクターであるBH4の相互作用について検討した。ラットの歯肉反応性充血は、NOS阻害薬である7-nitroindazoleの静脈内投与により有意に抑制された。さらに、60分間の圧迫/解除によるI/Rの再灌流開始20分後に実施した60秒間の圧迫/解除で惹起する反応性充血はコントロールに比べ著しく抑制され、この抑制は、I/Rの再灌流開始時にSODあるいはNOSのコファクターであるBH4 を静脈内投与することによりコントロールレベルまで有意に回復した。以上のことから、これらの減少は歯肉反応性充血にはNO作動性神経調節機構が関与していることが示唆された。これらの結果を学会発表および論文にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度はESR法,フォトン検出法を用いた,鶏血藤抽出液の活性酸素消去能の解析および反応性充血測定によるPg感染の歯肉微小循環に対する影響の解析を行うことが目標であった。 よって鶏血藤の活性酸素消去能の解析および歯肉微小循環のコアファクターの特定が行え、学会等により発表することができたことにより概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、反応性充血測定によるPg感染の歯肉微小循環に対する鶏血藤の改善効果の解析および歯周病モデルマウスに鶏血藤抽出液を投与した後,経時的に骨吸収量,歯肉血管反応を測定し、歯槽骨破壊および歯肉微小循環破壊の抑制の程度を解析する。さらに下顎骨を摘出しマイクロCTを用いて歯槽骨破壊部位の骨密度を測定する。また、血管鋳型標本を作製し,歯肉微小循環の障害の程度を精査する。これらの結果を考慮し,Pg 感染により引き起こされる歯槽骨および歯肉微小循環の障害の程度,鶏血藤投与による抑制効果を評価する。最終的には,鶏血藤を用いた新規歯周病治療薬の創薬の強固な動機づけとなることをゴールとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
期日までに試薬等納品が間に合わなかったため次年度に繰り越し。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度分の予定通りに使用する。
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