研究課題/領域番号 |
15K11438
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
王 宝禮 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (20213613)
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研究分担者 |
益野 一哉 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (40288775)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯周病 / プラセンタ / 胎盤製剤 / 骨芽培養細胞 / 骨再生能 |
研究実績の概要 |
本研究では、プラセンタに歯周組織再生能力があることを作業仮説にし、基礎医学的な研究を通じて、EBMの確立と新しい歯周予防法や再生療法に発展することを目的とする。現在までに歯周病に対する薬理効果のメカニズムとしては、線維芽細胞増殖作用、抗ヒスタミン作用、創傷治癒作用、鎮痛作用、抗炎症作用などと推測されているが、歯周組織由来細胞による基礎医学的研究報告は全くない。これらの研究は臨床的な知見の取得に終始しており、プラセンタが歯周病関連細胞の細胞機能に及ぼす影響は殆ど解明されて来なかった。歯周病は、複数の細胞やサイトカインのネットワークによって引き起こされ要因が複雑であるため、培養細胞などを用いた基礎研究のデータ集積は重要であり、本研究ではプラセンタエキス純末(P-placental extraction)が、ヒト由来歯肉線維芽細胞の増殖能と1型コラーゲン産生能と、ヒト由来歯肉線維芽細胞の培養系に対して歯周病原因菌Porphryomonas gingivalis LPSを添加し炎症性サイトカイン産生に及ぼす影響をin vitroにて検討し,プラセンタが歯周病に及ぼす作用機序の解明の一端を試みた。その結果、プラセンタエキス純末がヒト由来歯肉線維芽細胞の増殖能と1型コラーゲン産生を増強し、さらにLPS誘導性炎症性サイトカイン(IL-6とIL-8)産生を抑制することを培養細胞実験において認めた。次に本実験結果からプラセンタが骨培養細胞への骨再生への可能性を検討し、ALP活性、コラーゲン産生能、細胞増殖能と確認できた。以上から歯周病治療の有効性を基礎医学的に解明できた可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、プラセンタに歯周組織再生能力があることを作業仮説にした。、基礎医学的な研究において、第1段階にプラセンタエキス純末(P-placental extraction)が、ヒト由来歯肉線維芽細胞の増殖能と1型コラーゲン産生能と、ヒト由来歯肉線維芽細胞の培養系に対して歯周病原因菌Porphryomonas gingivalis LPSを添加し炎症性サイトカイン産生に及ぼす影響をin vitroにて検討し、プラセンタエキス純末がヒト由来歯肉線維芽細胞の増殖能と1型コラーゲン産生を増強し、さらにLPS誘導性炎症性サイトカイン(IL-6とIL-8)産生を抑制することを培養細胞実験において認めた。次に第2段階としてプラセンタが骨培養細胞への骨再生への可能性を検討し、ALP活性の上昇、コラーゲン産生能、細胞増殖能と確認できた。以上の2種の培養細胞による実験結果から、歯周病治療の有効性を生化学的に解明できた可能性がある。さらに、注射液のプラセンタエキス製剤でも同様な実験結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの歯肉線維芽細胞と骨芽細胞の培養細胞を用いた生化学的な実験より、プラセンタが歯周病に対する抗炎症作用と骨再生作用の可能性を報告できた。次にこれら2種の細胞内情報伝達系の分子レベルでNF-kappaB活性化抑制をルシフェラーゼアッセイ、ゲルシフトアッセイで確認後に、IRAK-M、Tollip、IRAK-4、A20、TRAF6などの因子(TLR2或いはTLR4からNF-kappaB活性化までの間のシグナル伝達因子)の量的変化あるいはリン酸化の活性化の解析をウェスターンブロッティング、免疫沈降法などで確認していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実際に使用した物品費が使用計画よりも小額であった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分として試薬及び実験器具の購入を行う。
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