近年、誤嚥事故が相当数発生し、誤嚥による死亡事故訴訟の判例で病院や施設の法的責任が認容されるケースが増加している。本研究の目的は、高齢者の誤嚥が問題となった訴訟判例(1997-2015年)を対象として、高齢者の誤嚥事故訴訟において、医療および介護従事者の法的責任に関連する要因を特定することである。勝訴判決に関連していた因子は、誤嚥予見性、食事監視の有無および不適切な食事介助であった。嚥下障害の有無および食物選択と判決に関連はみられず、高齢者の窒息事故を予防するためには、誤嚥予見性と食事の見守りが重要であることが明らかとなった。
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