研究課題/領域番号 |
15K11443
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
大谷 真紀 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30292379)
|
研究分担者 |
美作 宗太郎 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50284998)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 大規模災害 / 個人識別 / 歯科エックス線 / 口外撮影法 / 開口困難 / 側斜位撮影法 / フラットパネル検出器 / エックス線防護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,災害時に検案所での身元確認に,フラットパネルエックス線検出器および携帯型歯科用エックス線撮影装置を用いた歯科エックス線口外撮影法を利用する方法を確立することであった.死体を腹臥位にして,フラットパネル検出器に口唇もしくは頬部を密着させ,臼歯部は側斜位撮影法で,前歯部は頸椎越しに近接撮影法で単純エックス線写真を撮影したところ,口腔外から上・下顎全ての歯科エックス線写真を得ることができた.胸部に枕を入れる,頭部の向きに合わせて機材を位置づける等の工夫により,様々な状態の死体に対応することができた.また本法は,歯科で使用されている他の撮影法,すなわち,開口させる必要があるデンタルエックス線撮影や歯列を撮影軌道に載せる必要があるパノラマエックス線撮影が困難な事例でも,歯科エックス線写真を得ることが可能で,CTでは観察が困難な金属修復物の形状も観察可能であった.本法で撮影したエックス線写真が行方不明者の生前エックス線写真との照合に利用可能かどうか検討したところ,多くの事例で生前資料との照合に利用する特徴を記録することができており,実際の事例でも身元を確定することができた.本法は1事例3枚で全顎撮影可能であることから,これまで個人識別に利用されてきたデンタルエックス線撮影10枚法と比較して,作業時間が短く,1事例あたりの撮影者の被爆量を少なく抑えることができた.検案所内にいる撮影に関係しない方々の被爆量を測定したところ,実験に用いた3種類の撮影装置のいずれでも,2メートル以上離れると公衆の被爆限度に達しなかった.今回用いた機材は運搬が容易な上,充電型の機材を用いると,電源や水が供給されていない場所でも利用できる.従って本法は,デンタルエックス線写真やパノラマエックス線写真の代用として,災害時はもちろん,平時の個人識別にも広く応用できるものと考えられた.
|