研究課題/領域番号 |
15K11457
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田村 文誉 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (60297017)
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研究分担者 |
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
菊谷 武 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20214744)
羽村 章 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (60162921)
町田 麗子 (榎本麗子) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (00409228)
水上 美樹 日本歯科大学, 生命歯学部, その他 (60735695)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経管栄養 / 経口摂取 / 脳機能 / 胃電図 |
研究実績の概要 |
【目的】胃瘻患者の摂食嚥下障害に対する効果的な経口摂取移行のための指針と摂食嚥下リハビリテーションプログラムを開発するための予備的研究として、健康成人のコントロールデータを集積することを目的とした。【対象および方法】健康成人5名(男性3名、女性2名、平均年齢28.8±0.9歳)を対象とした。胃電図(BIOPAC社製、MP-150 WSW-HN,EGG100C)を用い、設定①:30分安静後、タスクとしてラコールNF配合経腸用液200ccを経口摂取させ、その後安静時を計測、設定②:30分安静後、タスクとして増粘剤を混和した中濃度とろみラコールNF配合経腸用液10ccを経口摂取後にラコールNF配合経腸用液200cc(以下、液体)を摂取させ、その後安静時を計測、において胃運動機能を測定し、タスク前の安静時からの変化率を検討した。同時にfunctional NIRS装置Spectratech OEG-16APD (株式会社スペクトラテック社製)を用いて脳血流量を、生体情報モニタを用いて循環動態を測定し、検討した。得られたデータの統計学的解析にはSPSS Ver.23 for Windowsを使用し、対応のあるt検定ならびに一元配置分散分析を行った。【結果】安静時、タスク時、タスク後安静時の胃運動の強さを比較したところ、設定①の際に安静時とタスク時間で有意な差がみられた(p=0.026)。胃の活動度を比較したところ、設定①、②ともに有意な差を認めなかった。また、設定①、②間でも有意な差を認めなかった。脳機能については経口摂取と同時に血流量の増加が認められた。【結論】本研究の結果より、健常者においては液体栄養剤を摂取した際に脳機能および胃運動機能が活性化されるが、事前に少量のとろみ状栄養剤を摂取しても胃運動機能に明らかな影響は及ぼさない可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の予定として健康成人のデータを得ることを目的としていたため概ね順調と思われる。ただし、同時並行して行っていた経管栄養患者については、測定時の体調や測定環境の調整が困難であり、1年かけて試行錯誤して行ってきた状況にある。また胃電図による胃運動機能の同時計測を追加したことで、脳機能と味覚や消化との関係も検討が可能となったことは今後の検討に有益と考えている。なお、当初は胃瘻患者中心に対象者を考えていたが、胃電図を追加したことにより、胃瘻ボタンの物理的な影響を胃電図が受ける可能性もあることから、対象者を経鼻胃管患者にまで広げて検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は健康成人データを追加してコントロールの指標を示すことと、重症心身障碍児者のデータ集積を進める予定である。 また脳機能の解析に関して、昨年度は十分に行えていなかった状況にあるため、今年度は脳機能と胃運動機能の関連性も含め、詳細な検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入したものが申請時より安く購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度から解析を進めるため、画像解析ソフトの購入する。また研究調査のための旅費、成果発表のための旅費として使用予定である
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