本研究は、閉塞性睡眠時無呼吸 (Obstructive Sleep Apnea; OSA) の発症に顎顔面口腔領域の形態的異常が深く関与することから、OSAに特有な形態的アンバランスを客観的に評価する指標を取り入れたスクリーニング法を新規に考案し、その実用性を前向きに検証するものである。 平成30年度は、前年度に引き続き、協力施設において夜間のいびきや無呼吸を主訴として睡眠外来を受診し、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)による確定診断を実施した患者の、マランパチ分類、首周囲径、顎下部距離、高血圧や心疾患などの合併症の有無、日中の眠気や疲労感などの自覚症状のデータ収集を行い、本研究で考案された顎顔面形態を含むOSAの新規スクリーニング指標が異なる地域の睡眠医療機関においても有用か、その妥当性の検証をおこなった。 さらに、女性のOSA患者は男性患者と身体的特徴が異なるため、女性独自のOSA指標が必要と考えられるが、女性に照準を絞ったスクリーニング手法の報告は少ないことから、OSAを疑い睡眠外来を受診し、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査を受けた女性患者の、初診時の年齢、BMI、首周囲径、ウエスト周囲径、顎下部距離、マランパチ分類、ESS、合併症の有無から有意な因子を抽出し、OSAを予測する身体指標のカットオフ値を決定し、女性の中等症以上のOSAの予測因子として有効な指標とその基準値を独自に検討した。
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