研究課題/領域番号 |
15K11469
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
末次 典恵 佐賀大学, 医学部, 講師 (60363355)
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研究分担者 |
大喜 雅文 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10160441)
加来 恒壽 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60185717)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Nursing observation / Eye-tracker / Nursing assessment |
研究実績の概要 |
平成27年度は、これまでに進めてきた本研究テーマにおける平成26年度末までの実験データの分析および、結果の公表を行った。看護実習室に実際の看護場面に準じた肺の手術後患者の状態を判断する場面を想定した状況を設定し、対象者である臨床看護師(熟練者)と看護学生(初心者)の視線計測用ヘッドセットを装着して測定した視線計測結果について、臨床看護師11名と看護学生10名の結果から注視箇所、注視時間を抽出し、臨床経験の有無による看護観察行動の違いを定量的に分析した。看護観察を終えた看護師と学生は、全員が患者の離床が可能であると判断しており、離床についての看護判断を導くまでに要した観察時間の平均値は、看護師は7分21秒±1分59秒、学生は13分48秒±5分3秒で、学生が有意に長かった。臨床経験をもつ看護師は、観察時間、注視時間ともに学生より短く、カルテ、点滴、胸腔ドレーンに注目していた。学生の注視時間が長かった箇所は、胸部以外の身体、体温計、腕時計、メモ帳、ベッドで、注目する部位の周辺を少しずつ位置を変えて何度も注視していた。両者が最も注視していた箇所はバイタルサインの測定器具であった。注視箇所についての大きな違いは認められなかったが、看護学生は数値で表しやすい情報により着目する傾向にあり、臨床経験をもつ看護師は、患者の術後経過についての知識をふまえて、現時点で最も注視すべき情報に注目して観察を行っていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に沿って、視覚探索データの解析を完了し、これらの結果を国内学会(2015年8月)および国際学会(2016年1月)で発表、および論文にまとめ、英文オンラインジャーナルに投稿した。投稿論文は2016年1月に公開された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに実施した実験では、患者の言動を可能な限り控えた設定としたので、看護者の観察の視点として重要となる看護師が関わることにより引き起こされる患者の言動の観察をするには至らないことが明らかになった。実際の臨床現場においては、患者は看護者の働きかけにより様々な反応を示す。臨床経験による看護判断力の違いを明らかにするためには、患者の反応を捉える看護師の視点を測定できるよう実験の状況設定を検討し、実験・分析する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた金額よりも少額での対応が可能であった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に同じ項目で使用予定である
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