研究課題/領域番号 |
15K11470
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
高橋 有里 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (80305268)
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研究分担者 |
武田 利明 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
三浦 奈都子 (小山奈都子) 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (40347191)
及川 正広 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (60537009)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 硬結 / 筋肉内注射 / 徐放性製剤 / 精神科 / 予防ケア |
研究実績の概要 |
精神科で定期的に徐放性製剤の筋注を受けている患者の硬結の発生状況,また,硬結症状と患者特性や注射内容・方法との関連を明らかにし,硬結予防のケアについて考察することを目的とし,臨床での5ヶ月間の参加観察を行った. 調査対象は,筋注を受けている患者とその患者に注射を実施する看護師とし,対象患者が徐放性製剤の筋注を受ける機会に同席,注射前に患者の注射部位周辺の視診,触診,主観的所見を確認した.注射時には,注射内容を確認,対象看護師の手技を観察した.注射後には,再び患者の注射部位の視診,触診,患者の主観的所見を確認,対象看護師には注射時の主観的所見を聞き取った.対象患者の基本属性は,看護師および診療録より情報収集した.対象患者数に対する硬結保有者数の割合,調査期間中の硬結の新規発生率を算出した.硬結保有者および新規発生者については,対象者ごとに硬結部位の経時的変化を明らかにした.また,基本属性や注射内容,看護師の手技等の各データと,硬結の発生および経過との関連性について分析した. その結果,全ケースの11.0%に硬結が確認され,30.0%の患者が硬結を保有し,調査期間中10.0%の患者に新規に硬結が発生した.硬結の大きさは2.0×2.0cmから5.0×7.0cm,硬さは正常部位と比較して+7.4から+12.3硬く,筋注から8週間経つと大きさは縮小し硬さは軽減するが,8週間後に殿部の同一側に筋注されるため,再び大きくなる傾向にあった.総合的な傾向として,硬結は,患者の活動性が低下している時期にハロマンスの筋注が刺入深度不足になった際に発生しやすいと考えられた.したがって,硬結予防には,筋肉内に深く確実に投与すること,注射部位の筋を効果的に活動させることが有効と考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画において,平成27年度には臨床調査と解剖実習用遺体による調査を行う予定であった.現在,解剖実習用遺体による調査については実施後のまとめが充分できていないが,臨床調査については,調査の実施,分析,結果のまとめ,論文投稿まで行うことができたため,おおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,平成27年度に行った臨床調査による結果を踏まえて,実験用動物を用いた 硬結予防ケアを検討する基礎実験を行なう予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に購入予定としていた携帯型超音波診断装置について,新機種が発売される可能性があると業者から聞いていたため,今年度の購入を見送ったために発生した残金である.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に平成27年度の残金と合わせて,当初計画の消耗品とともに,携帯型超音波診断装置を購入する予定である.
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