研究課題/領域番号 |
15K11470
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
高橋 有里 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (80305268)
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研究分担者 |
武田 利明 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
三浦 奈都子 (小山奈都子) 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (40347191)
及川 正広 東北福祉大学, 健康科学部, 講師 (60537009)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 硬結 / 筋肉内注射 / ハロマンス / 除放性製剤 / 持効性注射剤 / デポ剤 / 精神科 / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
平成28年度は主に,臨床調査の結果を踏まえて,実験動物を用いた硬結予防ケアを検討する基礎研究を中心に行った.臨床調査において,硬結が発生した薬剤,ハロペリドールデカン酸エステル注射液(以下,ハロマンス)の筋肉内注射に起因する硬結に限定して取り組んだ. まず,研究1として,ハロマンスによる硬結の特徴を明らかにして看護ケア方法の示唆を得ることを目的に動物実験を行った.その結果,動物に臨床事例に観察されたような硬結を作製することができた.作製した硬結部の組織を観察した結果,ハロマンスは筋肉内で粒子状になり,その薬液周辺の炎症反応が長期間持続していることが分かった.臨床事例の経過から一度発生した硬結はなかなか消失しないことが明らかになっているため,硬結対策には発生を予防することが重要で,そのためには薬液の粒子をなるべく細かく分散させる看護が必要と考えられた. 次に,研究2として,具体的な看護ケア方法を検討する基礎的データを得るための動物実験を行った.ハロマンス注射部位に観察される薬液の粒子は,ハロマンスに添加されているゴマ油由来の油滴であることが明らかになった.硬結の本態は,油滴が大きく残り,その周辺の炎症反応が長期間持続することである考えられた.したがって,硬結を予防するには,油滴をなるべく細かく分散させるとともに,炎症を最小限に抑えることが必要と考えられた.その方法として,筋注後ハロマンスが油滴を形成する前に,投与された薬液が組織内で動くような活動で,組織への負荷が少ない動きが効果的であると考えられた. 今後は,具体的にどのような動きが効果的か検討を重ね,硬結予防のための看護ケア方法を構築していきたいと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の臨床調査を踏まえて動物実験を行うことができ,計画通りの進捗状況と考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の臨床調査,およびその結果をもとに行った動物実験により,ハロマンスの筋肉内注射に起因する硬結の予防的看護ケアの要素が明らかになったと考える.今後は,その予防的看護ケアとして具体的に何をすれば効果があるのか,明らかにしていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
学外の研究分担者の業務が遅れて,学外研究分担者に配分していた研究費を繰り越したため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の配分額と合わせて,研究遂行してもらう予定である.
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