平成30年度は、平成27年度に構築した指尖脈波によるリアルタイムに心拍変動を測定・解析するシステムを使用し、ボランティアの被験者19名に対し、MRI検査中に以下のストレス緩和策を用い、その時のストレスの変化を測定した。 MRI検査時に使用可能な非磁性のヘッドフォンおよび液晶モニタを活用し、MRI検査時に映像および音楽(市販DVD、シンフォレスト社製「海中絶景世界 Amazing Blue in the World」)を呈示することで、被験者が感じるストレスがどのように変化するのか、被検者19名のMRI検査前、検査中(映像視聴なし・映像視聴あり)、検査後のそれぞれのCV-RR値、L/T値、FStress値を用いて定量化するとともに、アンケートによる主観的評価を用いた検討を行った。 心拍変動解析で得られた、CV-RR値、L/T値、FStress値の3つの指標において、被検者全体の平均値で比べると、映像視聴を行うことでMRI検査時のストレスが軽減される傾向がみられた。しかし、t検定においてp>0.05となり、有意差は得られなかった。 被検者19名のうち18名が検査中、映像視聴をしてないときに比べ、映像視聴したことで快適になった(9人)、どちらかといえば快適になった(9人)と回答した。アンケートの自由記載欄には、「映像をみることで検査時間が短く感じリラックスできた」、「騒音もあまり感じることなく閉塞感が軽減された」、など映像視聴に好感を持った意見が多かった。呈示した映像は海中の映像であったが、リラクゼーション効果をもたらす映像は他にも数多くある。中でも森林の映像はリラクゼーション効果に関する基礎的検証が既になされており研究報告もあることから、今後視聴する映像によって、ストレス軽減効果がどの程度有効なのかについても検討が必要である。
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