研究課題/領域番号 |
15K11476
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
塚越 みどり 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (60405016)
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研究分担者 |
船越 健悟 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60291572)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 温罨法 / 冷え |
研究実績の概要 |
パーキンソン病患者のなかには、冬期や季節に関わらず四肢の冷えを感じる患者がおり、自律神経症状のひとつであることが推測される。本年度は、患者の冷えの自覚について聞き取りを行い、冷え症状の具体的な症状、発症時期、生活への影響を明らかにした。 本疾患で日常の生活で冷え症状を自覚する患者4名に聞き取りを行った。聞き取り後、冷え症状に関連する内容を抽出し、意味内容を分析した。4名の患者は男性1名、女性3名であった。『本疾患の診断と冷え』では、診断を受けてから、冷えを感じるようになっていた。『季節と冷え』では、外気温の低下する冬期は他の季節に比べて強く冷えを強く感じていた。『冷えの部位』は手、足の両方であり、『冷え症状による日常生活への影響』は、身体全体の動きづらさ、歩きづらさなどであり、転倒に対する不安も生じていた。『冷え症状の治療』では、投薬、処置などは行われている患者はいなかった。『冷え症状への対応』は、靴下は滑るためかえって転びやすいので冷えてもがまんする、靴下を二重に着用する、使い捨てカイロを使う、外出を心がけて身体を動かす、温かい飲み物を飲むなど個々で異なっていた。また、『医療者からのケアや助言』では、冷えに対して医療者から何らかのケアや指導を受けた患者はいなかった。 冷え症状がある時に身体の動きづらさ、歩きづらさを感じていたことから、日常生活行動の縮小や転倒のリスクにもつながることが推測される。今回は冷えの自覚に焦点をあてたが、皮膚温や他の症状との関連も検討する必要があると考える。対象とした患者においては、これまで医療者から冷え症状への治療やケア、助言を受けた患者はいなかったが、本疾患に特徴的な振戦、筋固縮、姿勢反射障害の程度や日常生活への影響をふまえて、患者個々の環境調整、温水浴や温罨法などの看護ケア、セルフケアについて適切な情報提供や支援をすることが重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本学における倫理審査体制が変更となり、許可を得ていた研究計画書一式が修正となった。新たな書式の記入、再審査期間が必要となり約半年間の期間、研究を中断することとなった。したがって、目標とした例数の研究は実施できず、少数例であったが難病看護学会への発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
新たな倫理審査体制における研究倫理申請を行い、実施の承認が得られたため、平成30年度は温罨法の研究対象者を募り、実験を再開し、目標症例数を目指す。また、引き続きラットの温熱受容体について免疫組織学的手法を用いて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色用の抗体購入で割り引きが生じたため、差額が生じ残額となった。 本年度の成果を公表する学会参加、関連する費用に充当予定である。
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