研究課題
本研究の目的は、「多職種(医師・看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士)倫理連携」の研修プログラムの開発である。本年度は、①2016年3月に実施したビッツバーグ大学メディカルセンター(UPMC;Montefiore・Prebyterian)での現状視察で得た知見(病院の組織体制と職種間・部門間連携、コンプライアンス、患者苦情・満足度調査の活用方法、緩和ケア・ホスピス、病院倫理委員会の活動など)の要点整理を行い、②雑誌『地域ケアリング』に実績として報告した。また米国研修の一環として訪問した③ワシントンD.Cの「米国ホロコースト博物館」で学んだ、ナチスドイツの、特に医師たちが行った身体・精神障がい者やユダヤ人に対する非人道的な医学実験(安楽死計画)が、戦後の国際軍事裁判において「ニュルンベルク倫理綱領(人体実験に関する被験者への説明と同意の重要性)」を提起するに至った現実について、学会発表(シンポジスト)や招聘講演、学内講義などを介してレクチャーし、歴史に学ぶ意義を教授することにつなげた。当初の研究工程としては、当該年度に、各医療職の倫理的実践能力と多職種と協働するために必要な能力に関する文献検討を行い、米国調査で得た知見とともに、それらを基礎資料に、医師、看護師、理学・作業療法士、社会福祉士に質問紙調査を実施する予定であった。しかし、研究代表者の吉澤が所属を変更することになり、研究協力者と緊密に連携体制を取ることができず、作業がやや遅れ気味である。
3: やや遅れている
当初の計画では、米国視察研修で得た知見と倫理・連携に関する文献検討を基礎資料に、紙面調査に向けた準備をする予定であったが、研究代表者の吉澤が所属大学を移ることになり、研究者間の会議もメールや電話でせざるを得なくなり、調査に向けた準備を計画通りに遂行することができなかった。今年度から、研究代表者の吉澤と研究分担者の白鳥が所属する大学が同一県内になったため、緊密な連携体制のもと、紙面調査に向けた準備を早急に進め、実施する予定である。
平成29年度は、まずは「研究計画書」を精製し、研究代表者が所属する機関の利益相反申請を行い、承諾後に、研究倫理委員会の審査を受け、年度の半ばまでには調査を施行する計画を立てている。また、各医療職の倫理的実践能力と多職種と協働するために必要な能力を測定するための質問紙の作成にあたっては、研究代表者が所属する生命倫理学会等の有識者に指導・助言を依頼する予定である。調査結果については、学会発表および論文投稿に向け、分析しまとめていく。
当初計画していた質問紙調査ができなかったため、調査にかかる事務用品や郵送料、調査後のデータ入力などのアルバイト代を使用しなかったため。
関連論文の複写費や質問紙調査にかかる郵送料や発送アルバイト、調査後のデータ入力などの人件費に使用する。その他、研究者会議や関連学会への参加旅費にも使用する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち謝辞記載あり 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 5件)
山梨県立大学看護学部研究ジャーナル
巻: Vol.3 ページ: 45~58
聖徳大学研究紀要
巻: Vol.27 ページ: 89~94
地域ケアリング
巻: Vol.18 ページ: 54~57