研究実績の概要 |
本研究の背景には、「特定行為に係る看護師の研修制度」が法制度化され(平成26年)、看護師の役割が拡大された保健市助産師看護師法の法改正がある。新たな看護師の役割拡大つまり裁量範囲の拡大においては、看護師に求められる倫理的姿勢や倫理的問題の解決能力を十分に検討する必要がある。そこで本研究の研究課題を、①看護師の新たな役割拡大に伴い生じる倫理的問題は何か、②これまでの看護倫理教育に追加・強調すべき点は何か、③倫理的問題を解決するための組織的な体制はどのようにあるべきかとした。 平成29年度は研究最終年度にあたり、これまでに実施してきた第一段階調査(日本で活動する特定行為に係る看護師10名に対する個別インタビュー)と、第2段階の質問紙調査の結果を学会にて公表をした。第一段階調査ではインフォームドコンセントに関連した倫理的問題と特定行為の実施に関連した倫理的問題と対応が明らかとなり、第2段階調査での量的な結果でも裏付けされた。これらの結果は、平成29年度日本看護倫理学会年次大会(大分市)および第3回日本NP研究学会(成田市)で発表を行った。 さらに高度実践看護師(NP)であり、ボストンカレッジで看護倫理を教授しているPamera.J,Grace氏を招聘し、米国ナースプラクティショナーが遭遇する倫理的問題や倫理教育についてインタビューを行った。米国の高度実践看護師のNP教育について示唆を得られ、その内容については日本看護倫理学会誌(2018)に執筆掲載した。
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