研究課題
【目的】本研究の目的は、地域で生活するがん患者に対するタクティールケア介入による睡眠効果を明らかにすることである。【方法】対象:地域で生活する治療体験のあるがん患者10名。調査方法:非ランダム化比較試験。対象者には約2週間、アクチグラフを装着して貰った。個々の対象の調査期間の前半を未介入日とし、後半を介入日とした。介入日にタクティールケアを背部10分、足部20分実施した。調査項目:属性。生理的指標としてアクチグラフによる睡眠・覚醒の定量データ、心理的指標としてピッツバーグ質問紙(PSQI)。分析方法:単純集計。PSQIは介入前後の差を、睡眠・覚醒データは未介入日と介入日を比較した。【倫理的配慮】倫理審査委員会の承認を得た。対象者には文書で目的、方法、任意参加等を説明し、文書で同意を得た。【結果】アクチグラフ装着期間は平均は10日間、平均ケア回数は4回であった。(1)睡眠・覚醒判定での中央値(未介入日、介入日)は、主睡眠区間の睡眠時間(432分、387分)、睡眠効率(94%、95%)でいずれも有意差はなかった。主睡眠区間の5分以上の睡眠中断(8回、7回:p=.048)、睡眠潜時(3分、0分:p=.023)、覚醒時間帯の睡眠割合(6%、8%:p=039)、体動活動指数(92、90:p=.012)は有意差が認められた。(2)PSQI得点6点以上(良くない睡眠状態)には10名中5名が該当した。PSQIの平均値は前6.3±4.9、後5.1±5.1、介入後に有意に低下(p=.016)した。【考察】地域で生活するがん患者にタクティールケア介入を実施した結果、未介入日より介入日の方が日中の睡眠割合が有意に高く、主睡眠区間の睡眠潜時と睡眠中断が有意に少なく、睡眠の質の主観的評価が高くなった。これらはタクティールケアというソフトマッサージによる体表温度の上昇や気分の安定が影響した結果と考える。
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