本研究は、人を対象とした転倒実験を行い、転倒時による外傷の危険性を明らかとすることを目的として実施している。最終年度となるH29年度はこれまでの実験を通じて明らかとなった実施成果の報告と学会誌への投稿を目標として活動を行っている。 年度を通じて、転倒姿勢毎の外傷危険度を衝撃加速度や骨の降伏応力を基に明らかとするとともに転倒時における転倒姿勢を実験を通じて大きく4つに分類し、それぞれの防御姿勢の特徴を明らかとした。本結果を通じて、転倒時における防御姿勢が転倒外傷予防に大きく影響を与えることを明らかにすることで、転倒時防御姿勢の中でも外傷を起こしにくい転倒防御姿勢を保持するトレーニングが必要であること、即座の転倒時において無理に姿勢を保持しようとせずに意識的に転倒をすることが外傷予防に大きく貢献することを明らかとした。実験を通じて明らかとなった成果は、論文として日本職業災害医学会へ投稿し掲載決定している。 本申請では、3年間の研究を通じて転倒時における防御姿勢の特徴を明らかにするとともに、転倒時防御姿勢毎の外傷予防効果を数値にて示すことが出来た。この結果は、臨床現場において大きな問題となる転倒による外傷を軽減する上で大きな意義があると考える。本研究を通じて、転倒時における防御姿勢だけでなく転倒時における意識が大きく外傷予防に影響を与えることを明らかとしたことは、より効果的な転倒外傷予防に向けたトレーニングを今後検討していくうえで、重要な基礎資料となると考える。
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