研究課題
平成24年から平成27年までのがん化学療法を受ける患者への口腔ケア介入実績(56例)により、口腔粘膜炎を予防するには口腔粘膜炎スクリーニングを行い、口腔衛生管理を図ることが重要と考え以下の内容を実施した。1.平成28年度は、がん化学療法における口腔粘膜炎リスク要因を明らかにし、口腔粘膜炎リスク指標を作成する目的で、口腔ケア介入のパイロットスタディを行った。具体的には、口腔粘膜炎リスク要因は、治療レジメン、食事摂取状況、血液検査データ(血算、総蛋白、アルブミン)5項目を設定し、OAG評価をアウトカムとして、がん化学療法を受ける患者32名に口腔ケア介入(口腔観察、歯ブラシの選択、ブラッシング指導、舌ケア、含嗽方法と回数の指導、保湿ケア)を行った。2.厚生労働省の「重篤副作用疾患別マニュアル-抗がん剤による口内炎」のリスク要因をもとに分析した。その結果、倦怠感、および粘膜障害による口腔清掃困難と口腔衛生管理の不徹底、薬剤による唾液腺の障害や口腔乾燥、骨髄抑制に伴う白血球減少、食欲低下に伴う総蛋白、アルブミン減少の5項目を口腔粘膜炎リスク要因とした。3.以上の結果をもとに、口腔粘膜炎スクリーニング指標として①簡易倦怠感尺度(日本語版Brief Fatigue Inventory)、②口腔細菌数、③口腔水分率、④血液検査データ(赤血球数、白血球数、好中球数、総蛋白、アルブミン値)を決定した。4.がん化学療法における口腔粘膜炎リスク要因と口腔粘膜障害の関連を明らかにする目的で研究計画書を作成し倫理審査を受けて承認され、研究計画書にそって、口腔ケア介入の症例を積み重ねている。
3: やや遅れている
平成28年度は、口腔粘膜炎リスク要因として、治療レジメン、食事摂取状況、血液検査データ(血算、総蛋白、アルブミン)5項目を設定して口腔ケア介入と、介入後の口腔内の状態をOAGで評価するパイロットスタディを行った。さらに、直接口腔ケアを行うときの患者の反応や観察結果から、倦怠感、および粘膜障害による口腔清掃困難と口腔衛生管理の不徹底、薬剤による唾液腺の障害や口腔乾燥が、口腔粘膜炎リスク要因として影響することが分かった。以上をもとに研究計画書を再検討し倫理申請を受け承認されるまでに時間を要した。
1.がん化学療法における口腔粘膜炎リスク要因と口腔粘膜障害の関連を明らかにする目的で口腔ケア介入の症例数を60例を目標に行う。2.口腔ケア介入結果を分析する。3.がん化学療法における口腔粘膜炎予防のための介入プログラム試案を作成する。
繰越金が生じた理由:平成28年度は、研究者による口腔ケア介入のパイロットスタディと研究計画書作成、倫理申請に時間を要し、研究計画の実施は始まったばかりである。したがって、研究補助員による口腔ケア介入とデータ入力の人件費が未使用であるため、繰越金が生じた。
平成29年度使用計画:モバイル端末Surface Pro3 64GB一式×2台(300,000円)、口腔ケア用品(60,000円)AO,PC関連用品(50,000円)図書(100,000円)、旅費(200,000円)資料閲覧費(50,000円)学会参加費(50,000円)、通信費、印刷費(200,000円)、人件費(700,000円) 合計1,710,000円
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