がん化学療法における口腔粘膜炎予防のための介入プログラムの開発と検証

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K11496
• 研究機関: 福岡大学
• 研究代表者: 吉川 千鶴子 福岡大学, 医学部, 准教授 (60461539)
• 研究分担者: 高松 泰 福岡大学, 医学部, 教授 (50320297)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: がん化学療法 / 口腔粘膜炎予防 / 介入プログラム開発

研究実績の概要

本研究は、がん化学療法による口腔粘膜炎予防のための介入プログラムの開発を目的としている。口腔粘膜炎予防には、口腔粘膜炎リスク要因を明らかにし、がん化学療法前からスクリーニングを行って、レジメンの種類に応じた口腔ケア介入プログラムが必要である。
平成28年度は、32例に口腔ケア介入を行い、厚生労働省「重篤副作用疾患別マニュアル―抗がん剤による口内炎」をもとに分析して、口腔粘膜炎リスク要因を6項目とし、がん化学療法前に行う、口腔粘膜炎スクリーニング指標を作成した。
平成29年度は、がん化学療法を受ける患者の口腔粘膜炎リスク要因と口腔粘膜障害の関連を明らかにすることを目的として調査を行った。調査時期は、がん化学療法開始前と開始後day7、day14の3回とした。調査内容は、性別、年齢、一般状態（PS)、診断名、治療レジメンまたは薬剤名、コース数、G-CSFの使用の有無の7項目を基本情報とした。口腔粘膜炎リスク要因は、口腔衛生管理状況（ブラッシング回数、含嗽回数）、日本語版Brief Fatigue Inventry（簡易倦怠感尺度）、口腔内細菌数（Panasonic細菌カウンタ）、口腔水分量（口腔水分計ムーカス）、CTCAEによる白血球減少、好中球減少の重症度、総蛋白、アルブミン値の9項目とした。口腔粘膜障害は、CTCAE（Gr0～Gr5)による粘膜障害の判定およびEiｌers Oral Assessment Guide(OAG)の8項目に味覚障害を加えた9項目を調査した。目標症例は60例とし、現在までに54例の調査を終了した。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度は、がん化学療法を受ける患者の口腔粘膜炎リスク要因と口腔粘膜障害の関連を明らかにすることを目的として調査を行った。目標症例は60例であるが、まだ、目標数に達していない。調査の時期は、化学療法開始前とday7、day14であるが、入院期間が短縮され、day14調査のデータが得られず、調査対象が得にくい状況がある。

今後の研究の推進方策

1．「がん化学療法を受ける患者の口腔粘膜炎リスク要因と口腔粘膜障害の関連」の調査結果を分析する。
2．口腔粘膜炎リスク要因に応じた口腔粘膜炎予防のケア介入プログラムの試案を作成する。
3．ケア介入プログラムの試案を基に、教材を作成しケア介入を行って評価する

次年度使用額が生じた理由

（理由）
繰越金が生じた理由：介入調査なので補助員の協力を得て実施する予定であったが、実際は週に3～4例で、補助員の協力を得る必要がなかったので人件費を使用しなかった。今後は、ケア介入プログラムの実施に向けて経費が必要となる。

（使用計画）、モバイル端末Surface Pro4　128GB一式（250,000円）、体験学習の講師の謝金（2回分　100,000円）、旅費（100,000円）、口腔ケア用品（60,000円）、AO,PC関連用品（50,000円）、論文投稿料（200,000円）旅費（200,000円）、学会参加費（100,000円）、図書（100,000円）、人件費（300,000円）合計1,460,000円

研究成果

• [学会発表] Relationship between salivary secretions and oral mucositis by type of regimen in cancer chemotherapy (2018)
  • 著者名/発表者名: Yoshikawa C
  • 学会等名: 21th East Asisn Forum of Nursing Scholar
• [学会発表] がん化学療法における口腔粘膜炎を発症したセルフケア困難事例に対するケア介入の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 吉川千鶴子
  • 学会等名: 第36回日本看護科学学会