当該研究は、口腔粘膜炎予防のための介入プログラムの開発と評価を通して有用性を明らかにすることを目的として取り組んだ。先行研究で、介入プログラムには、対象の口腔粘膜炎リスクのスクリーニングが必要と考え、スクリーニング指標を検討する目的で、口腔粘膜炎リスク要因を明かにする前向き観察研究を行った。観察項目は、治療レジメンの種類、口腔水分率、口腔内細菌数、OAG(Oral Assessment Guide)、簡易倦怠感尺度、BMI、血液検査データ(血算、総蛋白、アルブミン)食事摂取量、口腔衛生行動(ブラッシング回数、含嗽回数)の11項目とした。口腔内細菌数とBMI、簡易倦怠感尺度は、10例のデータをとった時点で口腔粘膜炎との関連が確認できなかったので削除した。60例の観察研究を行い、口腔粘膜炎のスクリーニング指標を、治療レジメン、口腔衛生行動、(ブラッシング回数、含嗽回数、食事摂取状況、血液生化学データ(血算、総蛋白、アルブミン)の7項目と口腔粘膜炎の評価項目として、NCL-CTCAC4.0(grade0~4)による評価およびOAG(Oral Assessment Guide)評価の2項目とした。 以上の結果を受けて、介入プログラムの要素を構造化した。口腔粘膜炎予防のために、歯科医師による口腔内環境評価、専門的口腔清掃、看護師による口腔粘膜炎リスクのアセスメント、唾液分泌を促進し口腔衛生を保持するケアの指導が患者を支え、口腔粘膜炎症状の悪化予防やセルフマネジメントを強化することが示唆された。
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