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2015 年度 実施状況報告書

助産基礎教育機関と臨床の協働による助産実習指導者養成プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K11499
研究機関群馬大学

研究代表者

常盤 洋子  群馬大学, 保健学研究科, 教授 (10269334)

研究分担者 小泉 仁子  筑波大学, 学内共同利用施設等, その他 (20292964)
國清 恭子  群馬大学, 保健学研究科, 講師 (90334101)
高津 三枝子  群馬大学, 保健学研究科, 助教 (90557290)
濱嵜 真由美  国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (90352335)
貞形 衣恵  群馬大学, 保健学研究科, 助教 (40759792)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード助産師教育 / 助産実習指導者 / 臨床との協働 / 助産師基礎教育 / 助産師継続教育 / 実習指導者養成プログラム / 助産基礎教育機関
研究実績の概要

本年度は助産実習指導者が認識している役割と役割遂行上の困難を明らかにすることを目的に質問紙調査を実施した。本調査の実施は群馬大学医学部疫学研究に関する倫理審査委員会の審査を受け、医学部長の承認を得て実施した。
研究対象者は、関東甲信越地区の分娩介助実習施設25施設の分娩介助実習指導者で、研究協力の同意が得られた90名であった。質問紙は、基本的属性(年齢、助産師経験年数、分娩介助次週指導経験の有無、指導者経験年数、実習指導者講習会受講の有無)と分娩介助実習指導における実習指導者の役割と役割遂行上の困難な内容をとらえる文章完成法と自由回答法から構成された。文章完成法の刺激語は、「分娩介助実習における臨床指導者として私は、」、「分娩介助実習における実習指導者の役割は、」であった。自由回答法の質問内容は、「分娩介助実習で学生に指導をしている中で感じている困難」であった。データ分析は、テキストマイニングソフト(Text Mining Studio Ver4.2)を用いて自然言語処理による量的言語解析を用いた。
対象者の年齢は、20~50歳代に分布しており、30歳代と40歳代で72.2%を占めていた。助産師経験年数は、4~9年が31.1%、10年以上が68.9%であった。分娩介助実習指導経験年数は0~3年が32.2%、4~9年が44.4%、10年以上が23.3%であった。
分娩介助実習における指導者が認識している4つの役割(①母児の安全の確保と産婦が満足のいくぶん分娩介助の支援、②学生が産婦・スタッフに受け入れられるように調整する、③基本的技術やアセスメント能力を身につけることができるよう支援、④助産師としてのアイデンティティ平静への支援)が示された。役割遂行上の困難な内容は、学生の主体的な行動を期待することができない事や業務と実習指導の多重課題により十分な指導ができないことであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究目的は、助産実習指導者が認識している役割と役割遂行上の困難を明らかにすることであった。関東甲信越地区の分娩介助実習施設25施設で分娩介助実習の指導を担当している実習指導者189名に質問紙を配布し、113名から回答が得られ(回収率59.7%)、有効な回答が得られなかった21名を除外し、90名を分析対象とすることができた(有効回答率79.6%)。各質問項目における有効回答率は90~96.7%で、概ね90%以上の有効回答が得られた。
また、本研究は、文章完成法と自由回答法から構成され、対象者から得られた言語を分析対象としているが、本研究の分析で使用したテキストマイニングにおいて語彙の豊富さを表す指標であるタイプ・トークン比は、0.41~0.51を示していた。タイプ・トークン比の数値が1に近づくほど語彙が豊富であると評価され、本研究で得られたデータは概ね豊富な語彙から分析することができたと考えられる。
本研究の分析で使用したテキストマイニングは、定型化されていない文章の集まりを自然言語解析の手法で単語やフレーズに分析し、統計解析によってデータに隠された傾向や話題と属性との関係などを見出す手法であり、データ分析の過程における分析者のバイアスを排除することができる。本研究で明らかにされた分娩介助実習における実習指導者の役割認識と役割遂行上の困難な内容の分析では質的データ分析における分析者の主観によるバイアスが排除され、信憑性が高い結果が得られたと考えることができ、助産実習指導者を養成するプログラムを開発する際に参考になる資料が得られたと考える。

今後の研究の推進方策

本研究の目的は、助産基礎教育機関と臨床の協働による助産実習指導者を養成するプログラムを開発することである。
平成27年度は助産実習指導者が認識している役割と役割遂行上困難と感じている内容を質問紙調査によって明らかにした。
平成28年度は助産実習指導担当教員が考える助産実習指導者の役割と役割遂行に必要な能力を明らかにする。具体的には、助産基礎教育機関の助産実習指導を担当する教員を対象に、デルファイ法による助産実習指導者の役割の明確化と必要とされる能力の検討を行う。教員が考える助産実習指導者の役割については平成27年度に明らかにした分娩介助実習指導を担当している実習指導者が認識している役割と役割遂行上の困難を参考にして質問紙を作成する。教員が考える実習指導者に必要とされる能力については、文章完成法と自由回答法を使用した質問紙調査を実施する。分析はテキストマイニング法を使用する。
平成29~30年度には、助産実習指導者の役割と役割遂行にあたって必要とされる能力を参考にして助産基礎教育・臨床協働型助産実習指導者養成プログラムを作成し有効性の評価のための介入研究を予定している。

次年度使用額が生じた理由

今年度は調査地域を関東甲信越に限定し、電話やメールでの会議としたため、調査旅費を使用しなかった。また、対象人数が予定よりも少なくなったため切手代が予算を下回った。さらに、有効回答数が90と少なかったためデータ入力を研究分担者が担当したため予定していた人件費を使用しなかった。

次年度使用額の使用計画

調査地域を全国に拡大する。そのための調査旅費と切手代に予算を計上する。また、対象人数を増やすためデータ入力のための人件費を計上する。

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公開日: 2017-01-06  

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