研究課題/領域番号 |
15K11502
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 弘高 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90401314)
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研究分担者 |
任 和子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40243084)
西薗 貞子 大阪医科大学, 看護学部, 講師 (50458014)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 看護学 / 臨床推論 / 看護過程 / 看護診断 / Inquiry-based learning / 特定行為研修 |
研究実績の概要 |
看護領域の臨床推論には、医学モデルに基づく推論と、看護独自の視点に基づく推論の2つがあることが明らかになった。そして、医師と看護師の協働の取り組みがなされる中で、看護師の特定行為研修で医学モデルの臨床推論がカリキュラムに組み込まれたこともあり、看護師の臨床推論と医師の臨床推論は歩み寄ってきているという結論に至った。 臨床推論と混同されやすい看護過程と看護診断についても併せて概念の整理を行った。看護過程は看護診断を含む問題解決のアプローチであり、この看護過程の中で、医学モデルに基づく臨床推論と看護独自の視点に基づく臨床推論の両方が行われている。前者と後者は推論プロセスとしては同じであるが、その対象が異なる。医学モデルでは患者の病態に着目して推論を行うが、これは看護問題の前提となる患者の状態理解のため、診療の補助行為に伴う治療推論のため、また、看護のモニタリング機能のために行われている。一方で看護独自の視点では、健康問題に対する人間の反応に着目して推論を行うので、その対象範囲は日常生活への影響にまで及ぶ。看護診断はその中で、看護が扱う問題とその解決方法を共通の言語で語るためのラベルとしての役割を果たしている。ラベル付けにより、そのラベルに紐付いたより詳細な情報収集がしやすくなるという観点では有用である。 臨床推論の教育方法に関しては、ケース・スタディが有効であるとされる。その方法の一つとして、Inquiry-based Learning (IBL)がある。これは、少ない情報から仮説を立て、それを検証するためにさらなる情報収集をし、仮説の精度を上げていくという過程を通じて、洞察力や先見的な思考力を育てると同時に推論に必要な知識の習得を目指すことを目的としている。学部教育に限らず卒後の継続教育にも活用されている教育手法である。
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