研究課題/領域番号 |
15K11504
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
出村 佳美 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (30446166)
|
研究分担者 |
長谷川 智子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (60303369)
上原 佳子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (50297404)
北野 華奈恵 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (60509298)
礪波 利圭 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10554545)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 口腔セルフケア / 教育プログラム / 高齢COPD患者 / 誤嚥性肺炎予防 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、対象者の教育ニーズを把握することを目的とし、セルフケアが可能な65歳以上のCOPD患者24名(平均73.9±5.1歳)を対象に、誤嚥リスク、口腔状態(乾燥度・細菌数・口腔の健康状態)、口腔関連QOL、口腔ケア状況と認識などを調査した。地域高齢者誤嚥リスク評価指標(DRACE)による評価の結果、誤嚥リスク有(スコア4以上)の者が40%認められた。口腔水分計(ライフ社製)による測定では、[乾燥][境界域]を示す者を併せると68%、細菌数測定装置(パナソニック社製)による測定では、口腔内の細菌数が平均を上回るレベル5以上の者が70.9%であった。Oral Health Assessment Tool日本語版(OHAT-J)の8項目のうち「舌」と「口腔清掃」においては[健全]より[やや不良]な者が多く、「口腔清掃」が[やや不良]な者は[健全]な者より口腔内細菌数が有意に多かった(p<0.01)。また、General Oral Health Assessment Index日本語版(GOHAI)によるQOL評価の結果は、国民標準値(性・年齢層別平均)以下の者が28.8%であった。口腔ケアに関しては、1日の歯磨き回数は2回の者が最も多く41.7%、就寝前の歯磨きをしない者は29.2%、吸入後にうがいをする習慣がない者は47.1%であった。また、歯磨きなどの口腔ケアが、誤嚥性肺炎予防に効果があると認識している者は29.2%のみであった。機会があれば、口の健康や清潔に関する教育を受けたいと希望する者は62.5%であり、希望する内容として多かったのは「口腔の清潔と病気との関連」「口の乾きに対する対処」であった。 以上、途中経過ではあるが、高齢COPD患者においては、口腔機能および口腔衛生を維持・向上するための教育ニーズがあり、教育プログラムの内容に反映させる必要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、対象者の外来受診日に合わせて、研究者による聞き取り調査、口腔乾燥度や口腔内細菌数の測定、口腔内の観察などを行っていることから、郵送法による質問紙調査などとは異なり調査自体に時間を要する。また、協力施設における個室の確保など調査環境を整える必要がある。さらに、複数の対象者の受診日時が重なるなどにより、調査を次回受診日に延期する場合も生じており、進行が遅れる結果となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度も現在進行中の調査を継続して行い、データ分析を進める。また、調査結果から明らかになった教育ニーズをふまえ専門家の意見も受けながら、並行して教育プログラムを検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた研究補助員のアルバイトを依頼せずに研究を進めたこと、研修会開催にかかる交通費や謝金などが他の予算より計上できたことから、人件費・謝金として予定していた費用が未使用となった。 平成30年度も引き続き調査を実施するとともに、教育プログラムの検討を進める予定である。本年度の使用残額は、継続調査にかかる物品購入や交通費、教育プログラム作成に関する費用、指導・助言を受ける専門家らへの謝金等に使用する予定である。
|