本研究の目的は、へき地診療所に派遣される看護師対象の教育研修プログラムのコアとなる教育内容・支援内容を明らかにすることである。第1段階として、へき地診療所への看護師派遣の実態及び課題を明らかにするため、へき地医療拠点病院の看護管理者を対象に自記式調査票による調査を実施した。最終年度までに看護職派遣経験がないへき地医療拠点病院の看護管理者の認識から見える課題について学会発表し、へき地医療拠点病院におけるへき地の看護職への支援の実態と課題について学会誌で報告した。へき地の看護職への支援を行っていた施設の支援内容は派遣と研修・相談であり、支援の役割の認識と看護職派遣の必要性の認識は高かった。へき地への看護職派遣経験がない施設の約3割が「へき地への派遣の可能性」が「ある」と回答し、支援の役割の認識と看護職派遣の必要性は高かった。へき地の看護職への支援の課題には『へき地医療拠点病院の看護職不足』、『連携および支援体制構築の難しさ』、『へき地医療の情報・知識が少ない』等が挙げられた。 今年度は、第1段階の調査でへき地への看護職派遣の経験がある施設のみに調査した派遣前の教育内容や支援についての論文作成と、第2段階の調査としてへき地への派遣を経験した看護職を対象とした教育内容や支援についての調査を計画したが、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い、本研究者所属の医療機関も様々な対応が必要となった。論文作成とへき地に関する学会へのWeb参加、文献等での情報収集は実施できたが、第2段階の調査は調査対象者の医療機関も新型コロナの影響を受けていることが予想され、今年度の調査は断念した。作成中の論文は次年度学会誌に投稿予定である。 本研究によりへき地に派遣される看護職への教育プログラムや支援体制の構築に繋がり、派遣される看護職は教育と支援を受けることで、安心してへき地の住民に看護を提供できると考える。
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