研究課題/領域番号 |
15K11516
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
川瀬 淑子 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (80642652)
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研究分担者 |
平井 由佳 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (20335524)
岡安 誠子 島根県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (30346712)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 臨床判断力 / 臨床判断プロセス / 気づき / 推論 / 看護師 |
研究実績の概要 |
H28年度はclinical judgment modelの「背景」「気づき」「解釈」における臨床判断力の概念について研究者間で検討を行った。「背景」における臨床判断力の概念として、『気づくために必要な前提条件となる力』を想定した。次に「気づき」における臨床判断力の概念として、『気づく力』『気づいたことに基づき予測する力』を想定した。「解釈」における臨床判断力の概念として『推論する力』を想定した。検討した臨床判断力の概念に基づいてインタビューガイドを作成し、A県内の病院に勤務する専門看護師、認定看護師計8名にインタビューを実施した。H29年度は得られたデータを質的帰納的に分析した。結果『気づくために必要な前提条件となる力』では、38のコードから18サブカテゴリ―、【疾患に対する医学的知識の保有】【必要な情報の意識した獲得】【患者の変化を捉えるための意識的な情報交換】【意識した患者との対話】【患者の様子の観察】【病状の変化の見極め】【患者の病状の比較】【経験知】の8カテゴリ―を抽出した。『気づく力』では24のコードから8サブカテゴリ―、【患者の重大な身体状況の変化】【患者の訴え】【意思決定への迷い】【患者の混乱した心理状態】【普段の患者の様子との違い】【意思決定への迷いから生じる患者の不利益】【患者の心情】【患者の病状の変化】【身体症状の要因】の9カテゴリ―を抽出した。『気づいたことに基づき予測する力』では、11のコードから7サブカテゴリ―、【意思決定への迷いから生じる患者の不利益】【患者の心情】【患者の病状の変化】【身体症状の要因】の4カテゴリ―を抽出した。『推論する力』では、19のコードから10サブカテゴリ―、【根拠に基づく論理的推測】【経験を知識に照らし合わせた推測】の2カテゴリ―を抽出した。 この結果と文献より計44項目からなる臨床判断力尺度暫定版を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床判断力尺度暫定版の質問項目の作成にやや時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
作成した臨床判断力尺度暫定版の内容的妥当性を検討するために、臨床現場で看護実践を行う看護師と研究者間で質問項目の検討を行う予定である。次に臨床判断プロセスにおける臨床判断力の要素の抽出のためのインタビューに参加したA県内の専門看護師、認定看護師8名を対象にパイロットスタディを行い、内容的妥当性の確保を行う。その後、全国規模の調査を行い、得られた結果の信頼性と妥当性の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に調査票による全国調査を予定していたが、尺度作成の遅延のため、次年度に全国規模の調査を行う予定である。調査票作成にかかる費用や郵券費、データ入力にかかる人件費として次年度に助成金を使用する予定である。また、国内の学会での発表を予定しており、それにかかる旅費、参加費として助成金を使用する予定である。
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