研究実績の概要 |
【目的】自己調整学習サイクルモデルを活用した看護技術学習支援システムを,2015年度から2016年度にかけて開発し,2017年度と2018年度に「バイタルサイン」(入学後初めて,個別の教員評価を受ける基礎看護技術)の授業に導入した。システム導入の効果を評価するため,導入前後各2年間に質問紙調査を行った. 【方法】調査項目は,自己調整学習方略尺度(以下、SR)(藤田 2010 参考),特性的自己効力感(成田 1995),達成目標(田中・藤田 2003 参考),練習時間等で構成した.導入前後と時間外学習前後の比較には,Mann-Whitney U 検定(有意水準5%)を行い,練習時間とSRについては,Spearman順位相関係数を求めた(SPSS Ver.18J). 【結果】SR得点を時間外学習前後で比較した結果,導入前は,モニタリング方略(p=.033)のみが上昇し,導入後は,モニタリング方略(p=.009)とプランニング方略(p=.000),認知的方略(p=.025)が上昇した.時間外学習前の導入前後比較では,導入後に認知的方略(p=.000)が有意に上昇し,時間外学習後の導入前後比較では,導入後にプランニング方略(p=.010)と認知的方略(p=.000)が上昇した. 時間外の技術練習時間は,システム導入後に長くなり(p=.001),プランニング方略と認知的方略との間に正の相関が認められた(ρ=.228, p=.001,ρ=.296,p=.000). 【考察】SR得点と練習時間が,導入後に上昇したことから,本システムが,時間外の技術学習において,看護学生の自己調整学習を促すことが明らかになった.時間外学習前の認知的方略が導入後で有意に高かった要因として,初回講義時に行ったシステム等の説明が影響した可能性がある.また,SR得点が高い学生ほど練習時間が長いことが示された.
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