平成29年度は、看護教員が授業研究について学ぶためのプログラムの実施と評価を行った。 沖縄県で開催された日本看護学教育学会の交流セッションおよび近畿・北陸地方の看護師養成機関を対象に郵送にてプログラムの受講者(看護教員)を募集した。プログラムは、前年度までの調査結果に基づき「授業研究の意義」と演習「模擬授業研究」で構成し、90分、3時間、5時間の3つのコースを設定した。評価方法としてプログラム受講前及び受講直後に参加者の属性、授業研究への意欲、プログラムの評価に関する項目(5件法)及びプログラムの成果や改善点の自由記述アンケート調査を実施した。プログラムは5回実施され、参加者は延べ102名、回答者は93名(回収率91.0%)、有効回答数89名(有効回答率95.0%)であった。コース別受講者数は、90分が20名、3時間が58名、5時間が11名であり、授業研究の経験者は30名、教育経験年数5年以上は61名であった。受講前後の授業研究の理解度は、全体および各コースにおいて有意(p<0.01)に上昇していた。プログラム全体、講義、演習の評価では、いずれも「とても良かった・良かった」が86名(96.6%)以上であった。授業研究への意欲では「所属校で授業研究を取り入れたい・やれそうだ」が63名(70.8%)であるが、授業研究の経験者が有意(p<0.05)に高い傾向が見られた。自由記述の内容として代表的なものは、プログラムの成果は「自己の授業改善の機会」「授業研究に対する理解の促進」であり、改善点は「教員のレディネスを考慮したグループ編成」「ディスカッションの時間の確保」であった。全コースにおいてプログラムが受講者の授業研究への理解を高めるものとなっていた。改善点を踏まえたプログラムのさらなる充実と授業研究未経験者の実践に繋がる内容の検討が示唆された。
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