日本とインドネシア、フィリピン、ベトナム間における経済連携協定(EPA)の合意に基づき、インドネシア人、フィリピン人、ベトナム人等の外国人看護師が日本の医療現場に就労し、同僚として日本人看護師と共に働く可能性が考えられる。その際、看護師としての職業的アイデンテイテイの差異、低下による様々な弊害を避け、職業的アイデンテイテイを維持、発達させていくことが重要である。これまで日本人とフィリピン人看護学生および看護師の職業的アイデンテイテイの調査を実施した結果、日本人看護学生および看護師の職業的アイデンテイテイは、共にフィリピン人より有意に低いことが明らかになった。 それらの結果を踏まえ本研究は、日本人看護師の外国人看護師受け入れ後および外国人看護師の来日後の職業的アイデンテイテイの変化の有無、影響を検証、考察することを目的とした。平成29年度は研究計画書の再考と修正を検討した。国内における調査実施のフィールド確保のため、外国人看護師の研修および就労を受け入れている病院、施設の情報収集と調査実施可能機関の開拓と確保に努めた。また、日本に在住する外国人看護師研修生の対象者数(サンプルサイズ)から量的調査の限界を補足するためにインタビュー調査による質的研究の導入も視野に入れ研究計画を再考し、研究方法を修正した。平成30年度は、調査機関のネットワーク構築、連携強化を引き続き行っていくと共に量的・質的の両側面から調査を実施した。今後、収集したデータの分析を行い結果を明らかにしていく予定である。
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