研究課題/領域番号 |
15K11540
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
梶原 江美 西南女学院大学, 保健福祉学部, 講師 (00389488)
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研究分担者 |
飯野 英親 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (20284276)
小野 聡子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20610702)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ラテックスアレルギー / 予防 / 看護基礎教育課程 / 看護技術 / 教育プログラム / 尺度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護基礎教育から始めるラテックスアレルギー(LA)の予防教育プログラムの開発とその検証である。本年度は、昨年度に引き続いて、基本的なLAの知識を定量的に評価できる日本語版尺度の作成に取り組んだ。具体的には、研究分担者らと協議をして決定した既存尺度の日本語版を作成した。昨年度末に出版社への許諾はとれていたため、原文著者の連絡先を把握し、許諾を得るところから取り掛かった。原文著者であるMs.S.Kleinbeckはすでに大学教員や学術団体の役割を引退しており、連絡先を確認することに多くの時間を要した。数か月後、連絡先が確認でき許諾を得ることができた。既存尺度を日本語訳し、翻訳家が逆翻訳したものを基に原文著者であるMs.S.Kleinbeckとの意見交換を行った。このプロセスを経て、LAK-J(Latex Allergy Knowledge-Japanese version)の原型が完成した。 並行して、看護技術演習でのLA予防のため、質問紙調査と使用テストによるスクリーニングを実施した。スクリーニングを実施することで、看護技術の授業でアレルギー様症状が出現する学生が回避できた。また、事前に学生に対して、演習や実習で適切な手袋を選択できるようにわかりやすく明示できる他、質問に来る学生に対しては個別に対応することで学生自身落ち着いて対応することが可能となることが再確認できた。また、これまでのLA研究で行ってきた国家試験問題やテキスト分析についても継続、LA予防に関する認識の傾向を確認した。改定される看護技術のテキストの中には、LAについての記載があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、LAK-Jの開発と教育プログラム内容の検討、教材作成を計画していた。本年度の成果は、決定した既存尺度の原文著者と意見交換をして、LAK-Jの原型が作成できたことである。しかし原文著者が現役を退いていたこともあり、連絡先を確認するのに多くの時間を要した。そのため、作成したLAK-Jの信頼性・妥当性の検証、教育プログラム内容および教材作成が遅れている。併せて、LAに関して2016年12月にFDAからパウダー付き医療用手袋の流通差止めの通知(2017年1月18日より実施)、国内では、2016年12月に厚労省から製造販売業者へ2年以内にパウダーフリー手袋へ供給切替えを促す通知や消費者庁から一般向けのLAの注意喚起が発表された。これら社会背景も考慮して、教育プログラムを作成したいと考えている。 今後、看護学生に向けたLA予防のための教育プログラムを検討しながら、作成したLAK-Jでの評価を実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
FDAからのパウダー付き医療用手袋流通の差し止めを受け、日本国内でもLAへの関心が高まることを期待している。この背景も踏まえ、研究分担者らとともに、LA予防のための基礎知識の内容、教授時期、教材などを検討して、教育プログラムの原案を作成したいと考えている。また、本年度作成したLAK-Jを使用してLA知識の定量的な評価を行っていくとともに学生の反応など定性的にも評価しながら、学生のLAに関する知識習得の効果性を探っていきたい。 また、並行して、LAリスク学生のスクリーニング、テキストや国家試験問題の傾向も継続して実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が生じた理由として、既存尺度の日本語版の逆翻訳料が予定額よりも少なくて済んだ他、既存尺度を作成した原文著者との意見交換をメールで行えたことがある。ただし、原文著者の連絡先確認に時間を要した。その結果、教育プログラムについての検討が十分に行えておらず、検討に必要な旅費やデータ整理に必要な人件費などの使用計画が遅延したため未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
LAK-Jの原型は作成できたため、その信頼性・妥当性を確認するデータ収集と分析に必要な人件費や分析ソフトの購入を考えている他、教育プログラムの内容を検討し必要時、研修への参加や教材作成への費用に充てたいと考えている。
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