研究課題/領域番号 |
15K11542
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研究機関 | 純真学園大学 |
研究代表者 |
光本 いづみ 純真学園大学, 保健医療学部, 助教 (50461588)
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研究分担者 |
藤野 成美 佐賀大学, 医学部, 教授 (70289601)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 緩和ケア看護師 / 感情労働 |
研究実績の概要 |
当該年度においては、緩和ケアに携わる看護師が仕事上で経験する感情の動揺について探索し、メンタルヘルスに負の影響を与える要因を明らかにすることを目的に緩和ケア病棟に勤務する看護師に対し半構造化面接を行った。インタビューの内容は逐語録に起こし質的帰納的に分析を行った。研究協力者は20歳代から50歳代の男女14名であった。面接内容から抽出した296のコードを分析対象とし意味内容について比較・分類を繰り返し、22のサブカテゴリーが抽出された。さらにそれらのサブカテゴリーの比較・分類・統合によって【業務の繁雑さによる情緒的消耗】【よりよい緩和ケアへの模索と苦悩】【患者・家族、医師、看護師の倫理調整の困難さ】【緩和ケア看護師継続のモチベーションの低下】【患者の死に関わる複雑性悲嘆】という5つのカテゴリーが抽出された。現在、カテゴリーの信頼性・妥当性を確保するために分担者とともに内容を洗練させる作業を行っている。 本研究により、緩和ケア看護師が仕事上で抱くマイナス感情はどのような場面で、どのような内容で発生しているのかについて明らかになり、それによって看護師のメンタルヘルスに負の影響を与える要因を低減させる一助となることが予測される。 当初の研究計画では質的研究のあとに量的に看護師の困難感および感情労働を測定する予定であったが、インタビューの分析に時間を要しているため遅延気味である。次年度は、質的研究の洗練および量的研究により、緩和ケア看護師の感情労働について明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質的研究における研究協力者のリクルートに困難を極めたことによりインタビュー期間が長期にわたった。また、インタビュー内容の分析および内容の洗練に時間を要しているため次段階の量的研究にいまだ着手できていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
質的研究について内容を洗練し、その内容を参考に量的研究における質問紙の内容を検討する。質的研究の論文作成と同時に質問紙調査の実施、分析を行う予定である。 質的研究の内容洗練について、今年度より研究分担者を追加しており指導・協力を仰ぎながら推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に実施予定としていた質問紙調査が研究の遅延のため実施できなかったため、質問紙調査の用紙の印刷、郵送などに予定していた金額が未使用となった。次年度に、質問紙調査を実施予定としているため、印刷、郵送などの料金が発生し申請時の2年目計画よりも費用がかかる見込みである。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙調査関連の費用、質的研究の発表のための国内学会参加費・旅費、論文作成投稿量などに使用する予定である。
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