研究課題/領域番号 |
15K11548
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高岡 裕 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20332281)
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研究分担者 |
関口 紗代 神戸大学, 医学部附属病院, 看護師 (30722045) [辞退]
菅野 亜紀 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (20457039)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視機能異常と情報保障 / 先天性視機能異常 / 後天性視機能異常 / 患者用クリニカルパス / カラーユニバーサルデザイン |
研究実績の概要 |
本研究は、視覚障害者が理解しやすい患者用クリニカルパスの表記方法を明らかにすることを目的としている。特に、点字と触図による視機能異常の患者向けの患者用クリニカルパスを実用化すべく研究開発を行う。 さて、医療職は色覚異常について資格取得前に必ず学習するが、知っている筈でも“患者に注意を引くパス表記として赤色が良い”という研究成果が存在するなど、生かせていない現状が存在する。しかしこの結果は、日本人男性に5%強の割合で存在する色覚異常者では赤色は黒に見える事への配慮が少ない傾向がある。実際、我々はこれまでに、自院内の患者向け掲示の表示色調査を行い、色覚異常者への配慮不足を明らかにしてきた。その過程で、患者用クリニカルパスに同様の問題が内在している可能性に気付いた。そして、視覚障害に限らず視機能異常全般への対応(カラーユニバーサルデザイン)についても検討すべきであるとの考えに至り、色覚異常に対応した患者用クリニカルパスの色表現について研究することにした。この判断は、本研究のメインテーマの視覚障害に限らず視機能異常全般への対応も研究対象に含まれると考えたからである。 平成28年度は、日本人における頻度が日本人男性の5%、女性では0.2%が該当し血液型のAB型の男性の比率に比肩する先天性色覚異常(例:赤色は黒に見える等)、65歳以上の6%弱が該当する白内障をはじめとした後天性視機能障害を念頭に、所属先の患者用クリニカルパスの色覚異常への配慮の調査とガイドラインの作成に取り組んだ。また、触読で判別しやすい触図の大きさの解析の本実験の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、主として患者用パスの色覚異常への配慮の調査と作成ガイドラインの提案に取り組んだ。まず、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(http://www2.cudo.jp)発行のデザインガイドブックと、日本分子生物学会と電子情報通信学会の発表アクセシビリティガイドラインを基に調査表を作成した。そして、これを用いて自院で用いられている70種類の患者用パスを分析した。併せて、色弱者の見え方について、色弱模擬フィルタD型、P型、P・D複合型とAdobe PhotoshopのCUD機能でも確認し、それらの有用性についても検討した。 作成した調査表は4領域全17項目であり、これを患者用クリニカルパスの分析に用いた。者用クリニカルパスの殆どの強調箇所での赤色の使用や背景と文字のコントラスト不足を見出した。また色弱模擬フィルタは、直感的な見えにくさの確認に有用性を認めた。PhotoshopのCUD機能では、患者用クリニカルパス作成時に画面上で確認可能であり、有用性が認められた。日本医学放射線学会、日本分子生物学会、電子情報通信学会がガイドラインを設けていること、色覚異常に加え65歳以上の6%弱は白内障であり、患者へ渡す書類の色表現やコントラストへの配慮は必須であると結論した。 以上のごとく、本院の患者用パスを視機能異常とカラーユニバーサルデザインの観点から分析した結果を、第17日本クリニカルパス学会学術集会で発表した。その結果、第17回学術集会最優秀賞を受賞し、本研究の成果は高く評価された。 しかし視機能異常とカラーユニバーサルデザインの研究に優先して取り組んだ結果、触図の評価実験が後回しになった。今年度に遂行することになり、これらを平均すると概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度は視機能異常とカラーユニバーサルデザインの研究を優先し、触読で判別しやすい触図の大きさの解析についてはその準備を行った。今年度は、準備済みの“触読で判別しやすい触図の大きさの解析”の本実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
触読で判別しやすい触図の大きさの解析は、本実験の準備までの実施だったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本実験の準備を終えている、触読で判別しやすい触図の大きさの解析のにて使用予定である。
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備考 |
受賞:日本クリニカルパス学会第17回学術集会 最優秀賞(2016年11月25日)
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