本研究の目的は、感染予防実践者である看護職のコンピテンシーの実態を把握するための質問紙を開発し、作成した質問紙を用いて、日本と英語圏の感染予防実践者の看護職のコンピテンシーを把握すること、感染予防実践者である看護職のキャリアレベルごとに共通して求められるコンピテンシーを明らかにすることである。 感染管理疫学専門家協会(APIC)から発表されたコンピテンシー・セルフアセスメント・ツールに回答してくれた67名の感染管理認定看護師のインタビューデータを各項目の回答理由毎に質的に分析した。その結果から、感染症プロセスの明確化、医療関連感染サーベイランスと疫学調査、感染性微生物の伝播予防・制御、マネージメントとコミュニケーション(リーダーシップ)、質・業務改善と患者安全、教育と研究、労働衛生の7つのカテゴリーを含む127項目からなる調査票を作成した。プレテストを実施し内容を精選し、基礎情報11項目を加えた138項目からなる感染予防実践者のコンピテンシーに関するオンライン調査を実施した。 日本の感染予防実践者への調査協力は、日本感染管理ネットワーク(Infection Control Network in Japan)に依頼し、所属会員のメーリングリストから協力依頼を行った。また、日本看護協会の感染管理認定看護師ならびに感染症看護専門看護師の登録者のうち所属非表示者などを除外した2355名に協力依頼の葉書を送付した。5月17日現在で413名から回答を得た(回答率18%)。研究を除いた全カテゴリーで、感染予防実践者としての経験を積むことで各能力が向上していることが明らかになった。現在、APICの研究委員会の副委員長を通じて、感染予防実践をしている看護職への調査協力を依頼しており、協力への内諾は得ている。調査時期などの詳細をつめ、英語版の同じ調査票を用いてオンライン調査を実施する予定である
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